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11月30日-12号

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  1. 神奈川県議会 2022-11-30
    11月30日-12号


    取得元: 神奈川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-16
    令和 4年 第三回 定例会 △《本会議録-令和4年第3回-20221130-029331-諸事項-出席議員等議事日程-》 令和4年第3回神奈川県議会定例会会議録第12号〇令和4年11月30日 午後1時開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共101名       出 席 議 員                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       永   田   磨 梨 奈                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       田   村   ゆうすけ                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   けいすけ                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       石   川   裕   憲                       米   村   和   彦                       栄   居       学                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       楠       梨 恵 子                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       内   田   み ほ こ                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       青   山   圭   一                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       さ と う   知   一                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       長   田   進   治                       国   松       誠                       杉   本       透                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       く さ か   景   子                       作   山   ゆうすけ                       菅   原   直   敏                       北   井   宏   昭                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       浦   道   健   一                       加   藤   元   弥                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       松   本       清                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       曽 我 部   久 美 子       欠 席 議 員                       加   藤   ご   う       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         同             首   藤   健   治         政策局長          平   田   良   徳         総務局長          筒   浦   浩   久         くらし安全防災局長     佐   川   範   久         国際文化観光局長兼         拉致問題担当局長      香   川   智 佳 子         スポーツ局長        三   枝   茂   樹         環境農政局長        鈴   木   真 由 美         福祉子どもみらい局長    橋   本   和   也         健康医療局長兼未病担当局長 山   田   健   司         産業労働局長        河   鍋       章         県土整備局長        大   島   伸   生         共生担当局長        川   名   勝   義         教育委員会教育長      花   田   忠   雄         同  教育局長       田   代   文   彦         警察本部長         林           学         同  総務部長       重   江   光   一   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          浦   邊       哲         議会局副局長兼総務課長   高   瀨   正   明         同  議事課長       井   上       実         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和4年第3回神奈川県議会定例会議事日程第12号                            令和4年11月30日午後1時開議第1 定県第 91 号議案 令和4年度神奈川一般会計補正予算(第5号)   定県第 92 号議案 同  年度神奈川水源環境保全再生事業会計補正予算(第1号)   定県第 93 号議案 同  年度神奈川流域下水道事業会計補正予算(第1号)   定県第 94 号議案 同  年度神奈川水道事業会計補正予算(第2号)   定県第 95 号議案 同  年度神奈川電気事業会計補正予算(第1号)   定県第 96 号議案 同  年度神奈川公営企業資金等運用事業会計補正予算(第1号)   定県第 97 号議案 同  年度神奈川県相模川総合開発共同事業会計補正予算(第1号)   定県第 98 号議案 同  年度神奈川酒匂川総合開発事業会計補正予算(第1号)   定県第 99 号議案 個人情報の保護に関する法律施行条例   定県第 100号議案 神奈川県個人情報保護審査会条例   定県第 101号議案 神奈川県個人情報保護条例を廃止する条例   定県第 102号議案 再任用に関する条例を廃止する条例   定県第 103号議案 神奈川県情報公開条例の一部を改正する条例   定県第 104号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 105号議案 神奈川県不服申立関係書類写し等交付手数料条例の一部を改正する条例   定県第 106号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例   定県第 107号議案 住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例   定県第 108号議案 神奈川県統計調査条例の一部を改正する条例   定県第 109号議案 職員の分限に関する条例及び市町村立学校県費負担教職員の分限に関する条例の一部を改正する条例   定県第 110号議案 職員の懲戒の手続及び効果に関する条例及び市町村立学校県費負担教職員の懲戒の手続及び効果に関する条例の一部を改正する条例   定県第 111号議案 附属機関の設置に関する条例の一部を改正する条例   定県第 112号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例   定県第 113号議案 職員の給与及び通勤に要する費用の弁償に関する条例及び学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 114号議案 職員の勤務時間、休暇等に関する条例及び学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 115号議案 職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 116号議案 外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例及び外国の地方公共団体の機関等に派遣される市町村立学校県費負担教職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 117号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 118号議案 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 119号議案 職員の大学院等派遣研修費用の償還に関する条例の一部を改正する条例   定県第 120号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例   定県第 121号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例   定県第 122号議案 神奈川県地域医療医師修学資金貸付条例の一部を改正する条例   定県第 123号議案 神奈川県企業職員の給与の種類及び基準に関する条例等の一部を改正する条例   定県第 124号議案 警察組織に関する条例の一部を改正する条例   定県第 125号議案 神奈川県科学技術政策大綱の変更について   定県第 126号議案 工事請負契約の締結について(都市計画道路城山多古線(仮称)新坂下トンネル新設工事請負契約)   定県第 128号議案 管理事業に対する市町負担金について   定県第 129号議案 神奈川県道路公社の有料道路整備事業計画変更に対する同意について   定県第 130号議案 訴訟の提起について   定県第 131号議案 和解について   定県第 132号議案 和解について   定県第 133号議案 当せん金付証票の発売について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和4年第3回-20221130-029332-質問・答弁-柳下剛議員-代表質問①県政課題に対する知事の基本姿勢について②新たな展開を期待する施策について③県民のいのちを守る施策について④県政の重要課題について》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共100名 ○議長(しきだ博昭) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) 審議を行います。  日程第1、定県第91号議案 令和4年度神奈川一般会計補正予算外41件を議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕(拍手) ◆柳下剛議員 自由民主党神奈川県議会議員団の柳下剛です。  私は、自由民主党神奈川県議団を代表し、通告に従い、順次質問をいたします。  知事並びに教育長、警察本部長におかれましては、明快な御答弁を、また、先輩、同僚議員の皆様には、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。  質問に入る前に、一言申し上げます。  先日、子供の権利のために大きく貢献した若者に贈られる国際子ども平和賞に、日本人で初めて、大阪のインターナショナルスクールに通う川崎レナさんが選ばれました。  彼女は14歳のとき、環境問題や人権問題などに取り組む国際的NGOの日本支部を創設しました。変わりそうにない日本、自分の生まれた国、日本に誇りを持てないことについて、とてつもない悔しさを感じ、活動を始めたそうです。  フランクリン・ルーズベルトの言葉に「若者のために、未来を創れるとは限らない。だが、未来のために、若者を創ることはできる。」とあります。  停滞化と言われている日本で、政治が取り組むべき重要課題とされているのは、イノベーションにより強い経済を取り戻し、国家を培っていく人材の育成など、国の将来を担っていく子供や若者への教育を充実させていくことにあると思います。  若者が未来を誇れるよう、共に未来を切り開くために、私たちが彼らの声に耳を傾け、汗を流すことをお誓いし、質問に入ります。  〔資料提示〕  質問の第1は、県政課題に対する知事の基本姿勢についてであります。  初めに、広域自治体である県の役割について伺います。  広域自治体である県は、基礎自治体間、また、他の都道府県などとの間の調整を図る総合調整機能や、基礎自治体をバックアップする補完機能といった重要な役割を担い、これまで、コロナ禍における患者の広域的な入院・搬送調整や災害発生時の広域対応、さらには、財政面でも市町村をサポートするなど、役割を果たしてきました。  こうした状況の中、広域自治体がこれまで以上に、危機事象への迅速な対応や、利害調整が必要な重要課題への円滑な取組ができるよう、その役割や機能を強化するための様々な法改正の動きがあります。  例えば、現在、国会審議が行われている改正感染症法案においては、医療機関等に対する都道府県の権限を強化し、新たな感染症の発生、蔓延に備えた保健・医療提供体制の整備を図ることとしています。  また、近年、災害救助法の改正では、避難所設置等の住民に身近な対策は救助実施市に権限を移す一方で、災害救助における道府県の調整権が明記されました。  さらに、水道法の改正では、水需要の減少などに対応するため、広域的な連携の推進役としての都道府県の責務が規定されました。  このように、広域自治体としての県の機能強化が図られることは、市町村の行政運営においても大きな効果があると考えます。  例えば、大規模災害など、市町村単独では対応が難しい課題に対し、県が消防の広域化への支援などを行い、市町村をバックアップしながら解決に取り組むことで、市町村の住民サービスの向上、ひいては県全体の、質の高い行政サービスの提供につながることになります。  そして、今後、少子高齢化デジタル化の進展など、社会環境が大きく変わっていく中、県は広域自治体としての政策的な施策を展開するとともに、市町村とより一層連携し、効率的、効果的な行政運営や住民サービスの向上に努めていくことが、ますます重要になるものと認識しています。  そこで、知事に伺います。  社会環境が大きく変化していく中、広域自治体として、県の役割をどのように認識し、今後、いかにその役割を果たしていこうと考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、かながわグランドデザインの点検について伺います。  県では、令和元年7月に、かながわグランドデザイン第3期実施計画を策定し、今年度は計画期間の最終年度に当たることから、政策全般の点検を行っていると承知しています。  かながわグランドデザインの評価等に関する、9月の我が会派からの質問に対し、知事は、グランドデザインの評価等を通じて、様々な課題が明らかになってきましたので、総合計画審議会からも意見を伺い、来年度以降の政策展開につなげること、また、基本構想の見直しを検討すべき時期に来ていると考えるので、まずは総合計画審議会におけるグランドデザインの点検の議論を通じて、中長期的な視点で、本県における社会環境の変化をしっかりと検証する旨の答弁がありました。  現在の基本構想の策定から10年が経過しましたが、この間、本県においても、人口減少局面に移行したほか、新興感染症の拡大、国際紛争、自然災害の激甚化、デジタル化の加速など、様々な社会環境の変化がありました。  このような大きな変化を踏まえた上で、当面どのように取り組んでいくのか、将来的に何を目指していくのかといったことを明らかにしていくことが必要であります。  いわゆる総合計画は、自治基本条例に定められた県の政策の基本的な方向を総合的に示す最上位の計画になりますので、今回の点検の機会を捉えて、多くの県民に県政への関心を持ってもらい、その意見を受け止めていくことも大切です。  かながわグランドデザイン第3期実施計画の計画期間においては、新型コロナウイルス感染症の影響が多分にあったと思いますが、こうした中でも、何ができて、何ができていなかったのか、工夫の余地や反省すべき点、改善すべきことがないのかといった視点で検証を行うことが大変重要です。  また、日々の生活において、将来の変化を見通すことがますます難しくなっていると感じていますが、こうした時代にあっても、県民の暮らしの安全・安心を確保し、一人一人が豊かさを実感し、また、地域経済の活性化が図られるよう、これからの県政運営を考えていかなければなりません。  そこで、知事に伺います。  かながわグランドデザインの点検作業や総合計画審議会での議論を経て、現段階で明らかになった留意すべき社会環境の変化や、県の取組における成果や課題について、どのように認識しているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、国民保護の取組について伺います。  今年2月に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵略は、いまだ収束の気配を見せておりません。  また、北朝鮮による挑発行為もエスカレートしており、防衛省によると、今年に入って、弾道ミサイルの発射は計28回、その他ミサイルも含めると計30回に及び、かつてない頻度で挑発行為が繰り返されております。  このように、緊迫度を増した国際情勢に多くの県民が不安を感じていると思います。  とりわけ、去る10月4日に北朝鮮から発射された弾道ミサイルが、我が国上空を通過したことにより、全国瞬時警報システムJアラートが5年ぶりに発令される事態となりました。さらに、11月3日にも、宮城県や山形県、新潟県にJアラートが発令され、多くの方が不安と戸惑いを感じたものと思います。  Jアラートは、弾道ミサイル発射などの切迫した状況下で、国が直接、国民に緊急情報を伝達するものであり、適切に運用されることはもとより、住民の適切な行動につなげることが何より重要であります。  一方で、Jアラートが鳴っても、どのように行動したらよいのか分からないという声も多く耳にします。自然災害時の避難と比べても、弾道ミサイルが発射され、Jアラートが発令された場合の取るべき行動についての国民の理解は、進んでいるとは言えない状況にあると思っています。  例えば、屋内にいる場合や屋外での散歩中、車の運転中などにJアラートが鳴った場合、どのような行動を取るのか、分かりやすく周知する必要があると考えております。  また、弾道ミサイル等の攻撃の際、爆風からの直接の被害を軽減するための避難施設の指定について、本県では、令和4年4月1日時点で、人口に対して約4割と、とても充足しているとは言えない状況であります。  少しでも多くの避難施設を確保し、周知を図ることは、住民の安全を確保する上で重要であり、指定する権限を有する政令市とも連携し、避難施設の指定を積極的に行うことが必要であると考えます。  武力攻撃といった事態は、何としても避けなければならず、外交を含む、あらゆる努力が必要であることは言うまでもありませんが、万が一に備え、避難施設の充実や、住民の適切な避難行動の周知など、できる限りの準備をしておくことが重要だと考えます。  そこで、知事に伺います。  国際情勢が緊迫する中、万が一の事態に備え、国民保護の取組の強化を図る必要があると考えますが、どのように取り組むのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、脱炭素に取り組む基本的な考え方について伺います。  地球温暖化など気候変動への対応が人類共通の喫緊の課題となっており、今月20日までエジプトで開催されたCOP27では、気候変動による損失と損害に対する補償が初めて議題として議論されたところであります。  我が国においては、2050年カーボンニュートラルの実現を目指すと同時に、経済成長の実現については、化石燃料ベースのエネルギー需給構造を転換することに加え、産業構造も大幅に転換することを目指すグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを新しい資本主義の重点項目に位置づけております。  そして、国のGX実行会議では、今後10年間のロードマップを取りまとめ、脱炭素だけでなく、技術革新性が高く、国内投資の拡大など、経済成長につながる施策について、足元のエネルギー価格高騰への対策の必要性も踏まえ、政府投資の一環として取り組むこととしております。  また、気候変動が企業の持続可能性を脅かすリスクとなる中、脱炭素については、産業界でも、経営上のリスクを回避するために取り組む企業が増えており、また、サプライチェーン全体での対応や、新たなビジネス機会の獲得を目指そうという動きも急速に進んでいるなど、脱炭素への取組のさらなる加速化が求められております。  こうした中、県では、脱炭素社会の実現に向けて、地球温暖化対策に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図る神奈川県地球温暖化対策計画と、再生可能エネルギー導入等の促進を図るかながわスマートエネルギー計画に基づき、それぞれ省エネや再エネ促進の取組を推進していることは承知しております。  今年6月の我が会派の代表質問においては、スマートエネルギー計画の改定について、地球温暖化対策計画の改定と時期を合わせて、両計画の整合を図りながら検討するという答弁がありましたが、脱炭素のさらなる加速化が求められる中、令和5年度に予定している計画改定に当たっては、県民や企業等にとって、取組の全体像が分かりやすいものとし、より強力に取組を推進すべきであると考えます。  そこで、知事に伺います。  地球温暖化対策に係る計画を含め、脱炭素に取り組む基本的な考え方を伺います。  〔資料提示〕  次に、かながわICT・データ利活用推進計画等の総括について伺います。  県では令和元年7月に、かながわICT・データ利活用推進計画を策定し、多様化する県民ニーズへの対応や、これまで以上の業務の効率化を進めるため、ICTの利活用に加え、多様なデータの利活用を推進してきたことは承知しています。  一方、令和2年から感染が急拡大した新型コロナウイルス感染症への対応において、官民でデジタル化をめぐる様々な課題が明らかになりました。  このままでは、我が国は世界の流れに乗り遅れ、国際競争力の低下を招くとの認識の下、社会全体のデジタル化を強力に進めるため、国は令和2年12月に、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針を閣議決定しました。  あわせて、自治体が重点的に取り組むべき事項を具体化した自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画を策定しました。  〔資料提示〕  そうした中、令和3年12月に、かながわICT・データ利活用推進戦略が策定され、この戦略に基づく取組も進められてきたと承知しておりますが、この戦略は計画を補完し、これを着実かつ効果的に推進するものと位置づけられていることから、戦略の期間は、計画とそろえて設定されており、いずれも今年度が最終年度に当たっております。  残りの期間、取組を進めることは当然のことですが、この4年間の取組をしっかりと点検、検証するとともに、コロナ禍を契機に、国全体として高まったデジタル化の機運や取組なども踏まえて、県民目線に立って、全体を総括する必要があると考えております。  そこで、知事に伺います。  今年度、最終年度を迎えるかながわICT・データ利活用推進計画と、かながわICT・データ利活用推進戦略について、どのように総括していこうとしているのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 柳下議員の御質問に順次お答えしてまいります。  県政課題に対する私の基本姿勢について、何点かお尋ねがありました。  まず、広域自治体である県の役割についてです。  広域自治体である県は、基礎自治体である市町村との役割分担の下、広域的なスケールメリットも生かし、県内全域で総合調整機能を発揮するとともに、市町村を補完する重要な役割を担っています。  特に、本県は三つの指定都市をはじめ、様々な規模の市町村が所在していますので、それぞれの地域の実情を踏まえ、県全域での行政サービスを効率的、効果的に提供できるよう、広域自治体としての役割をしっかりと果たしていくことが必要と考えています。  こうした考えの下、今般のコロナ禍では、全国に先駆けた医療提供体制「神奈川モデル」を構築し、全県的な患者の入院・搬送調整等を実施してきました。  また、市町村が持続的に行政サービスを提供できるよう、保健師や土木職などの専門人材を県から派遣する人的支援とともに、市町村の公共施設等の老朽化対策や災害対応力の強化といった取組に対し、財政面も含めた支援を行っています。  今後、少子高齢化デジタル化の加速など、社会環境が大きく変化する中で、広域自治体としての県の役割は、ますます重要になります。  特に、脱炭素社会の実現など、オールジャパンでの取組を進めるためには、県内市町村や事業者等との調整にとどまらず、他県や国等との、より広域的な調整も行っていく必要があります。  県は引き続き、市町村との連携の下、社会環境の変化を見極めながら、住民目線で地域の実情やニーズをしっかりと把握し、持続可能な行政運営を実現するため、広域自治体としての役割と責任を果たしてまいります。  次に、かながわグランドデザインの点検についてです。  少子高齢化の一層の進行やデジタル化の加速、地球環境問題の深刻化など、社会環境は大きく変化しています。また、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢に伴う物価高騰など、現行計画策定時には想定できなかった事態も生じています。  総合計画審議会からは、こうした社会環境の変化が大きい時代だからこそ、可能な限り将来の展望や課題を明らかにして、新たな長期的なビジョンを県民と共有していくことが重要との意見を頂いていますので、県では、基本構想を見直す方向で検討を進めていきます。  第3期実施計画では、コロナ禍の影響を受けながらも、様々な取組を進めてきました。災害対応力の強化や企業誘致による産業集積、未病コンセプトの国内外への発信や東京2020大会開催、そして「当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~」の制定など、かながわグランドデザインの理念である、いのち輝く神奈川の実現に向けて、着実に成果を重ねてきました。  一方、コロナ禍の長期化により、県主催のイベント等が中止になったほか、エネルギー施策では、太陽光発電設備の導入量が伸び悩んでいること、男女共同参画では、男性の意識改革が進んでいないなど、道半ばである施策もあり、引き続き、取組の改善を図っていきます。  今後は、第3期実施計画の取組の成果と課題を取りまとめた点検報告書素案を県民の皆様にお示しして、御意見を頂くとともに、県議会や総合計画審議会で御議論も頂きながら点検を進め、中長期的な政策展開の方向性を明らかにしてまいります。  次に、国民保護の取組についてです。  北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、我が国をはじめ国際社会の意向を無視し、かつてない高い頻度で繰り返されており、私自身、強い憤りを禁じ得ません。  こうした北朝鮮による挑発行為をはじめ、緊迫度を増す国際情勢の中で、万一の事態に備え、国民保護の取組強化を図ることは喫緊の課題です。とりわけ、対処のいとまがない弾道ミサイルから身を守るための適切な行動を、県民の皆さん一人一人に身につけていただくことが何より大切です。  県では、屋外にいる場合、近くの頑丈な建物や地下に避難する、屋内にいる場合、窓からできるだけ離れ、窓のない部屋に移動するといった、ミサイル発射時に取るべき行動を分かりやすく周知する動画を作成し、ホームページやSNSで周知を図ってきました。  既に視聴回数は約20万回に達し、多くの方が視聴していますが、今後も、自主防災組織のリーダー研修や県のたよりなど、あらゆる機会を捉え、周知を図ります。  また、県は政令市と連携し、避難施設の指定強化も進めています。7月に、横浜市が市営地下鉄施設等38か所を指定したことに加え、県として、湘南台駅の地下施設や県有施設を追加指定したほか、11月には、茅ケ崎市内の国道1号線の地下通路を指定したところです。  県は今後も、普及啓発の一層の充実や、民間を含めた避難施設の指定拡充に努めるほか、国や関係機関と連携した訓練の充実を図り、万一の事態から県民の皆様の命を守るため、全力で取り組んでまいります。  次に、脱炭素に取り組む基本的な考え方についてです。  地球温暖化は、今や人類共通の喫緊の課題であり、未来の命を守るため、脱炭素の取組を一層加速させる必要があります。  2050年脱炭素社会の実現に向けては、国や自治体、企業、県民の皆様など、様々な主体が脱炭素を自分事として捉え、オールジャパン、オール神奈川で取組を広げていくことが重要です。  こうした考えの下、県は今年度、脱炭素化に向けた総合的な対策の検討を進めています。  その中で、2030年度の温室効果ガスの削減目標を精査するとともに、産業、家庭など部門別の削減目標と各主体の役割を整理しています。そして、県として、各主体の取組を後押しするとともに、県自らが率先して、県有施設への太陽光発電の導入や公用車の電動車化等を加速させていきたいと考えています。  こうした対策は、来年度予定している地球温暖化対策計画の全面改定に反映させるとともに、その改定に当たっては、脱炭素の取組を総合的かつ効果的に推進するため、地球温暖化対策計画にスマートエネルギー計画を一本化し、その全体像を県民目線で分かりやすくお示しするべきと思います。  県としては、県民の命を守るため、脱炭素社会の実現に向けて、総力を挙げてしっかりと取り組んでまいります。  次に、かながわICT・データ利活用推進計画等の総括についてです。  かながわICT・データ利活用推進計画は、計画2年度目から、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、一部、中止せざるを得なかった取組もありましたが、新しい生活様式に対応する中で、大きく進めてきた取組もあります。  例えば、県民の安全・安心や利便性の向上を図る「くらしの情報化」の取組では、オンラインで行える行政手続の数を、コロナ前と比べて約4倍に増やすとともに、博物館の入館料等のキャッシュレス化なども進めました。  また、「行政の情報化」の取組では、AIやRPA─ロボティック・プロセス・オートメーションなどを活用して業務全般の効率化を進めるとともに、モバイルパソコンの配備を進め、テレワークの実施環境を整備するなど、コロナ禍における業務体制を支えました。  さらに、令和3年12月に策定した、かながわICT・データ利活用推進戦略では、幅広いデータの利活用等にも重点的に取り組むこととし、複数のデータを活用して分析等ができるデータ統合連携基盤により、新型コロナの重症者数の予測等を可能にしました。  今年度は、計画と戦略の最終年度に当たることから、これまでの取組結果を個別に点検、検証するとともに、国の動向や新たなデジタル技術などを見据えた課題の抽出等も行います。  そして、コロナ禍によって顕在化したデジタル化をめぐる様々な課題も踏まえつつ、県民目線でこの4年間の取組全般を総括し、今後の施策に生かしてまいります。  答弁は以上です。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 それでは、再質問を1点させていただきます。  かながわグランドデザインの点検についてでありますけれども、知事肝煎りの施策も含めた様々な分野の施策をかながわグランドデザインに位置づけ、政策を推進しております。県民に県政の関心を高めてもらうという視点で考えたときに、総合計画が果たす役割についても、県民に伝えていく必要があると考えます。  そこで、総合計画の意義や役割について、どのようにお考えか、知事の見解を伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  県は、かながわグランドデザインに環境、福祉、経済、文化、まちづくりなど様々な分野の施策を掲げ、総合的、横断的に施策を推進しています。それらの施策は全て、いのちが輝き、誰もが元気で長生きできる神奈川といった、現行の基本構想に掲げる神奈川の将来像の実現につながっています。  総合計画は、こうした神奈川の将来像と県の政策の全体像を一体的に示すことで、なぜ県がそれぞれの政策に取り組んでいるのか、県民の皆様に分かりやすく伝えるものであると、そういうふうに認識をしております。  答弁は以上です。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 それでは、何点か要望をさせていただきます。  かながわグランドデザインの点検についてでありますけれども、かながわグランドデザインは、県の施策の基本となるものです。  ヘルスケア・ニューフロンティアや未病の改善などの手段を通じて、知事が神奈川県の将来をどのように目指していくのか、県民に知事の思いが伝わり切っていない、県民の望むものと乖離しているところもあると思います。  グランドデザインの点検、評価は、知事への成績表でもあります。当初、想定していた社会環境が大きく変化する中、目指す将来像に向かう手段、方向を改めて見直し、県民が望む神奈川県の将来像に向かって、今後の施策を進めることを要望します。  続いて、国民保護の取組についてであります。  有事の際に県民が実際に行動できるためにも、訓練を行うことは重要です。また、避難施設の指定も市町村と連携しながら、避難施設をさらに増やしていくことも必要と考えます。  包括連携協定を締結している県内の大学にも、避難施設の提供を呼びかけるなど、避難施設を増やして、国際情勢が緊迫する中、万が一の事態に備え、県民の安全・安心に努めることを要望します。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 質問の第2は、新たな展開を期待する施策についてであります。  〔資料提示〕  初めに、激変する経営環境を乗り越えようとする中小企業への支援について伺います。  本県の中小企業を取り巻く経営環境は激変し、この間、県は、低利の制度融資や協力金、かながわPayなどの消費喚起策やビジネスモデル転換への補助、商工会・商工会議所等の支援機関の体制強化など、様々な支援に取り組んできたことは承知しているところであります。  一方で、県内中小企業の経営者は、こうした経営環境の変化が長期化する中で、苦難を乗り越え、生き残りから成長にシフトさせようと懸命に奮闘しております。  こうした中では、経営環境の変化を経た企業を支援していく県や支援機関の取組もまた、新たな局面に入るべきではないかと考えております。  〔資料提示〕  これまで県は、中小企業に様々な経営上のリスクを早期に把握させ、早期に必要な対策を講じさせる企業経営の未病改善の取組を推進してきましたが、企業経営の未病に気づき支援機関に相談をする企業の数は、年間1万社という目標に対して、昨年度は僅か1,087社にとどまっています。  これは、全てではないにしろ、長引くコロナ禍や物価高騰等の影響で、現に厳しい経営環境に置かれている中小企業にとっては、もはや、知事の言うところの未病どころではなく、既に危機的な状態に陥っており、企業経営を未病というグラデーションモデルで把握する必然性を感じていない企業の心の声の表れではないでしょうか。  今後、この取組が企業の成長に大きく寄与するとは到底思えず、ここで一旦立ち止まり、取りやめることも検討すべきであると考えます。  〔資料提示〕  その一方で、中小企業が新たな事業展開や経営改善を進めていく際に策定するものの一つに経営革新計画があり、県は、その計画の認定を行い、低利な融資などのサポートにつなげていると承知しています。  この計画は、支援機関による助言を通じて、経営状態をより詳細に、客観的に把握できるようになることから、成長を見据えた企業が積極的に取り組むべきものであります。  これからの中小企業は、物価高、円安、賃上げといった構造的な経営課題にも加え、DXやGXへの対応といった新たな経営課題にも対応していかなければなりません。  こうした課題の対処には、もう企業経営の未病のチェックではなく、経営革新計画の策定のような、足腰を強靱に鍛えていくための支援を、県と支援機関が一体となって、今後、重点的に行っていくべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  県経済の活性化に向けて、激変する経営環境を乗り越えようとする中小企業に対して、今後どのように支援していこうと考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、本県の科学技術政策の基本方針について伺います。  今年6月の本会議において、改定作業中の科学技術政策大綱で重視する点や、改定で何を目指すのかという我が会派からの質問に、知事から、目標としては、安全・安心で豊かな生活環境を県民が実感できる地域社会の実現などの三つの基本目標を設定し、県が科学技術と社会の間をつなぐコーディネーターの役割を果たし、科学技術の取組によって、社会課題の解決に挑戦し、未来社会を切り開く神奈川を目指すとの答弁がありました。  県では、大綱の策定以降、科学技術政策に取り組んできたことは承知していますが、昨今、少子高齢化や脱炭素社会などの大きな社会課題が顕在化している中では、新たな科学技術等を地域社会に取り込み、県民の生活に届けていくことが求められています。  また、本県における基幹産業を創出・育成し、地域の経済を活性化していくためには、安全・安心で豊かな食品の提供や、最先端医療、ロボット及びエネルギーなど、生活の基盤となる分野において、持続可能で国際競争力もある強い産業の創出が求められております。  そして、将来にわたり社会が持続的に発展していくためには、県民目線や現場のニーズといった社会の対話の視点を大切にしながら、科学技術の活動によって社会課題の解決を図っていくことが必要であります。  こうした状況下においては、科学技術・イノベーション基本計画をはじめとした国の動向を踏まえながら、科学技術・イノベーションにより、社会課題、生活ニーズに応えていくとともに、成果をいち早く実用化し、県民の目に見える形で社会に還元していくことが重要であります。  そこで、知事に伺います。  今定例会で議案提案の運びとなった科学技術政策大綱は、今後4年間の本県の科学技術政策のよりどころになるものであり、安全・安心で豊かな県民生活の実現及び持続可能な産業の創出・育成による地域経済の活性化の行く末を担うものとなりますが、大綱に実効性を持たせることができるよう、今後どのような科学技術・イノベーションの活動を推進し、地域社会に展開しようとしているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、ヘルスケア・ニューフロンティア政策について伺います。  ヘルスケア・ニューフロンティア政策は、これまで費やした予算に対し、その成果が分かりにくいことや、県民の実感を伴っているのかどうかなどについて、県議会の場で再三議論をしてきたところであります。  こうした中、知事から、健康寿命の延伸などの取組成果が見えてくるまでには時間がかかるとの見解が示されていますが、この政策を推進してから既に8年が経過しており、この年月の中、実施してきた事業について、その取組成果を分かりやすく示すことは、求められて当然のことであります。  また、この政策で何を目指し、具体的にどこまで進展があったのかについて、県として、改めて説明する時期に来ているのではないかと思います。  〔資料提示〕  健康寿命の延伸に向けて、健康増進と産業創出の両方を推進しようとするヘルスケア・ニューフロンティア政策については、今の課題を明確にした上で、事業に優先順位をつけていくなどの視点も必要であります。  また、今月初めに、ME-BYOサミット神奈川2022を箱根で2日間にわたって開催し、これまでの取組成果や今後の展開等について、知事自ら、様々な関係者と議論を交わしたと承知していますが、その後の対応にも注視していきたいと考えております。  そこで、知事に伺います。  県がこれまで進めてきたヘルスケア・ニューフロンティア政策について、知事としてどのように受け止め、今後どう進めていくつもりなのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、健康団地推進計画の中間見直しについて伺います。  県営住宅は、入居者の約半数が65歳以上の高齢者で、生活や介護などに不安を抱える入居者が多くなっています。また、入居者の減少や高齢化の進行による自治会活動の担い手不足などから、団地コミュニティーの衰退が危惧されています。  さらに、多くの県営住宅は、これから建築後50年を迎えることから、建て替えのスピードを速めていく必要があります。  こうしたことから、県では、平成31年3月に、県営団地の現状や取り巻く課題等を踏まえ、だれもが健康で安心していきいきと生活できる「健康団地」への再生を基本方針とした健康団地推進計画を策定し、県民生活の安定と社会福祉の増進を目的に、比較的低額な家賃で住宅の提供を行ってきたと承知しております。  このように、県営住宅が住宅困窮者に対するセーフティーネットの役割を担っている現状がある一方で、民間住宅などの空き家の増加といった昨今の現状を考えると、こうした空き家の活用も視野に入れ、県営住宅をどうするのか、今後、中長期的には議論していくことも必要と考えます。  こうした中、県営住宅を取り巻く状況として、本県の人口は減少局面に移行していますが、その一方で、総人口に占める高齢者の割合が急速に増加し続け、超高齢社会がさらに進行すると予測されているため、これまで以上に、高齢者に寄り添った対応が求められます。  また、昨今のコロナ禍により職を失った方や、急速な円安による物価高騰などにより生活苦に陥った方々などが、住宅に困窮しているといった現実もあります。  現在の健康団地推進計画は、計画期間が10年間となっていますが、原則として、中間の5年目に計画を見直すこととなっており、令和5年度に見直しが行われます。その際には、住宅セーフティーネットとしての役割は引き続き担いつつ、計画の策定時点では想定されていなかったコロナ禍などの状況を踏まえ、計画を見直していく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  急速に進む高齢化の進展や、健康団地推進計画の策定時には想定されていなかった社会経済情勢の変化などに対して、計画の中間見直しをどのように行っていく考えなのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 新たな展開を期待する施策について、何点かお尋ねがありました。  まず、激変する経営環境を乗り越えようとする中小企業への支援についてです。  長引くコロナ禍や原油・原材料の価格高騰等により、多くの県内中小企業は業績が悪化し、非常に厳しい経営状態にあります。  そのため、県は、かながわPay等の消費喚起策や資金繰り支援、事業承継に対する補助、商工会・商工会議所等の支援機関の体制強化など様々な施策により、中小企業の事業継続を支えています。  今後も、支援策を取りまとめた中小企業支援パッケージにより、事業継続や経営改善など、企業が抱える複雑化、多様化する課題にきめ細かく対応していきます。  また、これまで事業継続に注力してきた中小企業も、今後は、借入金の返済などのため、販路開拓や生産性の向上といった、収益をさらに改善する取組に力を入れていく必要があります。  議員からお話があった経営革新計画は、中小企業が目指す姿を見える化する道しるべとして大変有効ですので、中小企業が稼ぐ力を身につけるためのこうした取組を支援機関等と連携し、しっかりと後押ししていきます。  また、新型コロナウイルス感染症や原油・原材料価格の高騰、脱炭素化への対応など、新たな経営上のリスクも生じていますので、企業経営の未病CHECKシートについては、こうした状況の変化を踏まえ、企業の御意見も伺いながら、見直しを検討していきたいと考えています。その上で、より多くの企業に活用していただけるよう、普及啓発にも取り組んでまいります。  次に、本県の科学技術政策の基本方針についてです。  令和2年に改正された科学技術・イノベーション基本法では、地方公共団体の責務として、科学技術の振興に加え、イノベーション創出が明記されました。  そこで、今回の大綱では、脱炭素等の喫緊の社会課題をイノベーションを創出して解決するために、防災、食、介護福祉、最先端医療、未病、エネルギー等を重点研究目標に三つの取組を推進していきます。  一つ目は、地域課題に応える県試験研究機関等を軸とした産学公連携活動です。  例えば、海水温の上昇などが原因で海藻が急激に減少する磯焼けに対し、通常の3倍のスピードで成熟する海藻を国機関等と連携し生産、移植することで、藻場再生に取り組みます。  二つ目は、新産業の創出・育成を牽引する異分野融合イノベーションです。  例えば、再生医療とロボットの分野が融合することで、これまで治療法がないと考えられてきた脊髄損傷への新たな治療法や、抗がん剤の副作用である脱毛対策としての毛髪再生技術など、いち早く県民の皆様へ提供できるよう取り組みます。  最後に、三つの特区等を生かした新たな技術・サービスのフィールドでの実証です。  例えば、高齢社会の課題である移動の確保に向けた自動運転バスや、担い手不足が懸念される農業現場へのロボット導入実証実験など、新サービスの社会実装に向けて取り組んでいきます。  こうした特徴的な取組や、これまで培った科学技術政策のノウハウを生かし、安全・安心で豊かな県民生活の実現や地域経済の活性化を目指す科学技術・イノベーションを創出し、地域に展開できるよう取り組んでまいります。  次に、ヘルスケア・ニューフロンティア政策についてです。  本県では、圧倒的なスピードで進む超高齢社会を乗り越えるため、これまで8年以上にわたり、ヘルスケア・ニューフロンティア政策に取り組んできました。  その結果、例えば、川崎市殿町地区では、70を超えるライフサイエンス関連企業等が集積するとともに、県が設置したライフイノベーションセンターでは、製品開発の最終段階である治験が始まるなど、実用化に向けた取組が着実に進展しています。  また、未病については、産業化の取組を進めたことで、未病産業研究会の参加企業が1,000社近くになるとともに、未病の状態を様々な技術で見える化する新たな商品やサービスが生まれています。  さらに、今年9月には、国連機関等が連携して選定する、高齢化社会をよりよくする世界のリーダー、The Healthy Ageing 50の一人に私が選ばれるなど、神奈川から発信し続けた取組に世界の関心が向けられ、ヘルスケア・ニューフロンティア政策に手応えを感じることができました。  一方で、県民の皆様に政策の効果をより分かりやすく伝えることや、その効果を実感していただく取組を強化することは、より一層必要だと認識しています。  また、先日開催したME-BYOサミットでは、女性や高齢者、働く世代など、それぞれの目線に立った課題が示され、具体の取組に着手する必要があります。  そこで、今後は、市町村や企業、アカデミア等と連携しながら、最先端医療技術の実用化を一層促進するとともに、働く世代のストレスの見える化やICTを活用した高齢者のフレイル対策など、実践的な取組のロールモデルの確立を目指したいと考えています。  こうした取組により、最先端医療をいち早く県民の皆様にお届けするとともに、一人一人が自分に合った未病改善行動を選択できる環境をつくることで、ヘルスケア・ニューフロンティア政策を推進してまいります。  次に、健康団地推進計画の中間見直しについてです。  県営団地は、住宅にお困りの高齢者等に、健康で充実した生活の場を提供する大切な役割を担っています。  県は、平成31年に健康団地推進計画を策定し、健康に関する講習会やコミュニティー活動の拠点整備等を実施するとともに、学生による自治会支援「神奈助人s」やシニア合唱事業等、高齢化に対応したコミュニティー活動を活性化させる取組を行っています。  しかし、急速に進む高齢化に対応し、より多くの団地へ取組を広げることや、災害やコロナ禍など、社会経済情勢の変化に伴い、住まいを失った方へ迅速に住宅を提供することも求められています。  そこで、健康団地推進計画の策定から5年経過後に行う中間見直しに向けては、県営団地を取り巻く新たな状況を踏まえた検討を進めます。  具体には、まず、これまでの取組を検証するため、コミュニティー活動に参加した高齢者にアンケートを実施し、改善点や新たに希望する取組等を聞き取り、より多くの団地で展開できるよう検討します。  また、住まいを失った方に、迅速に住宅を提供するため、入居に際し、必要な照明器具等の最小限の備品をあらかじめ備えた即応住戸の整備も必要です。  計画の見直しは、団地にお住まいの高齢者や自治会だけでなく、有識者等からも幅広く御意見を頂きながら進め、来年度中に完成させたいと考えています。  県は、こうした取組により、社会経済情勢に対応した健康団地推進計画の見直しをしっかりと進めてまいります。  答弁は以上です。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 それでは、再質問を3点させていただきます。  まず、中小企業への支援についてでありますが、企業が自ら経営状態をチェックし、早期に対応を図ること自体は悪いとは思っておりません。しかし、経営という、複雑で日々の情勢に左右されるような業界に、未病という考え方はそぐわないと考えています。そのことは、企業の相談件数から見ても明白であります。  答弁で、未病CHECKシートを見直すとありましたが、それは、未病という言葉の使用も含めた根本的な見直しと受け止めてよろしいのか、お伺いをします。  続いて、本県の科学技術政策の基本方針について、今回、提案のあった科学技術政策大綱では、重点研究分野を設定してイノベーションを生み出す取組を軸に、科学技術の成果を地域展開していこうとすることは理解しました。  そのため、産学公連携活動の強化及び知的財産の創出、保護、活用などが求められますが、大綱の取組の実効性をより高めていくために、どのように方策を考えているのか伺います。  続いて、健康団地の推進計画の見直しについてであります。  今後も、県営住宅が住宅セーフティーネットの中核として役割を果たしていくためには、今回の計画の中間見直しに当たり、市町の公営住宅や空き家などの地域ごとに異なる住宅ストックの現状を踏まえていくことも必要と考えます。知事の見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
    ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  最初に、未病CHECKシートについてであります。  企業の経営といったものを人間の体と同じように捉える発想、これが未病CHECKシートの基本的な考え方であります。これは私がいろいろな方にお話をしてきて、多くの経営者の皆さんから大変な評価を頂いてきました。  要するに、早く事業再生に向かっていくべきだ。ところが、経営者の目線に立てば、自分たちの会社がちょっと具合が悪くなっているといったことは、人に知られたくないという思いが、まず働きます。そうすると、事業はどんどん悪くなっていくのに、SOSを発信しないまま、悪い状況に入っていく、これはまさに未病の考え方ですね。そして、悪くなってから手を挙げても間に合わない。だから、なるべく早く手を挙げてください。しかし、手を挙げると、あの会社は問題があるのかなって見られてしまう。そういう恐怖感があるから、時間を失ってしまう。だから、早く手を挙げてもらうために、チェックシート、簡単なアンケートで、それが分かるようにして、そして、誰でもが相談できるような形にしていくという、こういうコンセプトでありまして、私は多くの企業の皆さんに直接話をしました。国や経済団体の皆さんに話をしました。みんな、これはすばらしい、大変評価してくださっているわけであります。企業経営の目線に立てば、これは実に分かりやすく、皆さんを救うための大きな大きなツールだと思っています。  ただ、このコロナ禍で、これは非常事態でありました。しかも、ウクライナ情勢がある、原油価格の高騰など様々なことが降りかかってきて、今、ある種の有事の状態であります。そんなことを言っている状況じゃないといったこともよく分かります。だからと言って、これを全て捨て去る、そういったことを考えるつもりは全くありません。  未病CHECKシートをこれからもしっかりと普及させるために、全力を注いでまいりたいと考えております。  次に、科学技術政策大綱の話でありますが、この大綱の実効性を高めるためには、県が県立産業技術総合研究所や大学の産学公連携、知的財産部門と連携しながら、科学技術イノベーションのプロジェクトを立案し、その成果を積極的に活用していくことが重要であります。  さらに、科学技術を活用した豊かな未来社会づくりのためには、特に防災やエネルギーなどで、理工系に加えて、その技術を社会の中でどのように活用していくのかという人文科学の観点も含めた、いわゆる総合知、これが大切でありますので、大学等との総合的な組織的連携も図りながら、地域の産学公コーディネート機能の充実強化を進めてまいります。  それから、健康団地についての御質問でありました。  県営住宅は、住宅のセーフティーネットの中核として、住宅に困窮する方々への供給を地域ごとに対応していくことが重要であります。  そこで、計画の中間見直しに当たり、団地の建て替えの際に、整備を予定している住宅の戸数については、現在お住まいの方が引き続き住み続けることを前提としつつ、その地域の市町の公営住宅や民間住宅の空き家といった住宅ストックの状況を十分把握した上で、必要な戸数を検討してまいります。  答弁は以上です。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 それでは、今、御答弁を頂いた中で、再々質問をさせていただきます。  中小企業への支援についてでありますが、この問題に関しては、私、以前、平成30年の代表質問でも取り上げさせていただいております。  私たちがお伝えしているのは、企業が早期に対応を図ること自体は評価をします。ただ、なぜ経営の場に未病というそぐわない言葉を持ち込むのかということを、なぜそこにこだわるのか、知事のお考えを伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  なぜ未病という言葉にそこまでこだわっていらっしゃるのか、それが私には分かりません。人間の体と企業の経営の状態、これは非常に似ているという形でお話をしていて、経営者の皆さんもそのとおりだとおっしゃってくれています。つまり、健康か病気かということではなくて、これは例えば経営危機か健全経営か、そんなものじゃない。経営というものは日々こういったように、こうしているわけですね。まさにグラデーションだ、それを未病だという考え方はそのとおりだと。これは経営者の皆さんの生の声であります。ですから、これを分かりやすく進めるために、この言葉にこだわっているわけでありまして、そのことについて、なぜ反発をされるのか、私にはよく理解ができません。  答弁は以上です。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 ただいま答弁を頂きましたけれども、反発という言葉は適切ではないと思います。決して反発をしているわけではございません。ただ、適切ではないだろうという判断の上で、再々質問をさせていただきました。  それでは、ちょっと何点か要望させていただきます。  まず、中小企業への支援については、今、御答弁も頂きましたけれども、なかなかお考えは平行線かなというふうに思います。ただ、一番大事なことは、バージョンを変えていく、新たな取組をするということは、新たに税金をそこに費やすということであります。今、企業が求めているのは適切な支援、それをほかの部分で予算を執行していただきたい、そういう思いもあります。  また、中小企業が事業の再構築、経営改善に取り組み、成長を見据えた経営を行えるように、支援機関と積極的な助言などの支援を行っていただきたい、その辺を要望させていただきます。  続いて、健康団地推進計画の中間見直しでありますけれども、民間住宅の空き家の状況など、社会情勢の変化に対応する必要があると思っておりますから、現在の県営住宅の戸数ありきではない、地域性や社会環境を考えた長期的なビジョンを持った計画の見直しを進めることを要望いたします。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 質問の第3は、県民のいのちを守る施策についてであります。  〔資料提示〕  初めに、冬の新型コロナウイルスの感染再拡大に備えた対応について伺います。  この冬は、3年ぶりに季節性インフルエンザの流行も予想されていますが、幸いにも今のところは、大きな流行は見られていないようですが、これからがインフルエンザの流行最盛期であることから、新型コロナウイルスとの同時流行も懸念されております。  こうした中、国は、新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォースを立ち上げ、大規模な同時流行に備える対策を発表しています。  また、県の新型コロナウイルス感染症対策協議会においても、コロナとインフルの患者が最大で1日3万4,000人以上、発生することを想定し、対策について議論がなされていることは承知していますが、これといった決め手となる対策はないようにも感じられます。  また、現在、国会では、今後の新たな感染症の発生に備えて、平時に、都道府県と病院の間で病床確保等に関する協定を結んでおくことなどを規定する感染症法の改正が審議されていますが、改正内容の大部分が令和6年4月の施行を予定しており、この冬の対策につながるものではないと認識しています。  11月22日には、国内の製薬会社による初のコロナ経口薬が緊急承認され、治療の選択肢を広げる意義はあるとはいえ、医療機関への供給はまだ始まったばかりです。  このような状況の中、ウイルスは、こちらの準備が整うまで待ってはくれず、新型コロナウイルスの感染拡大が第8波に入ったとする専門家の発言や、東京都八王子市の小学校では、インフルエンザで学級閉鎖になったといった報道に触れ、コロナとインフルの同時流行を心配している県民も少なくないと考えています。  そこで、知事に伺います。  間もなくやってくる本格的な冬の時期には、インフルエンザとの同時流行も懸念されているところですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に備えて、どのように対応していこうとしているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、神奈川県水防災戦略の内容充実と風水害対策の強化について伺います。  今年9月、気象庁が、経験したことのないような暴風、高波、高潮、記録的な大雨のおそれがあると警戒を呼びかけた台風第14号が日本列島に上陸し、長期間にわたる大雨の影響により、九州地方や中国地方をはじめ、広範囲に被害を及ぼしました。  また、台風第15号では、隣の静岡県内では、住家被害は床下浸水まで含めると約4,500棟が被災したほか、大規模な断水も発生したことは記憶に新しいところであります。  県は、令和元年度の台風被害を教訓に、「水害からの逃げ遅れゼロ」、「県民のいのちを守り、財産・生活等への被害を軽減」という二つの目標を掲げる神奈川県水防災戦略を令和2年2月に策定し、ハード・ソフトの両面から取組を進めてきました。  令和4年度で策定から3年が経過しますが、ハード対策は当初の計画を上回る規模で順調に取組が進められており、ソフト対策についても、戦略に基づく対策が着実に進んでいると承知しています。  水防災戦略については、今年度で最終年度となりますが、6月定例会で知事は、今年度予定している水防災戦略の見直しの中で、最新の動向を踏まえた対策の充実を位置づけていくとのことでした。  これまでの3年間においても、毎年のように、大きな水害や土砂災害が発生している中で、災害対策基本法の改正、新型コロナウイルス感染症の流行など、風水害をめぐる環境は大きく変化しており、現行の戦略に盛り込まれていない課題等も数多くあると思います。  これらの課題をしっかりと捉え、戦略に反映した上、対策を充実させていくことが重要であります。  そこで、知事に伺います。  本県でいつ発生してもおかしくない大規模風水害に備え、水防災戦略の内容の充実を図り、風水害対策の強化を図る必要があると考えますが、どのように取り組むのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、気候変動を踏まえた河川の水害対策の推進について伺います。  6月から8月を中心に線状降水帯による豪雨災害が頻発していますが、その発生メカニズムは未解明な点も多く、いつ、どこで発生するのか、気象庁においても正確な予測は難しいとされています。  豪雨が予測されるたびに気象庁が会見を開き、テレビを通じて、地域住民に対して、避難の呼びかけを行う様子も珍しいことではなくなり、さらに、堤防決壊等による甚大な浸水被害を目にすることが増えたことで、多くの人が、気候変動の影響があることを実感しているのではないかと考えております。  有識者からの提言によれば、今後、気候変動による豪雨のさらなる激甚化、頻発化はほぼ確実視されており、本県においても、いつ発生してもおかしくない豪雨に備え、水害対策を推進していくことは大変重要であり、県民の安全・安心の確保に向けては、一層の取組が求められています。  県では、気候が非常事態にあるという危機感を市町村、企業、県民などと共有するため、令和2年2月に、かながわ気候非常事態宣言を行うとともに、これまで水害への対応力を強化するため、水防災戦略に基づき、ハード・ソフト両面から対策を進めていることは承知しています。  今後、気候変動による影響を見据えた中で、予測される雨量の増加などに対応できるよう、将来に向けて、さらなる対策の強化を図っていく必要があると考えております。  そこで、知事に伺います。  県は、気候変動を踏まえた河川の水害対策の推進について、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例が目指す理念の具現化について伺います。  10月14日の本会議において「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~」が全会派一致で可決、成立しました。  この条例の議決に当たって、県議会からは、意見を付した条例であり、我が会派としても、先般の本会議の討論において、条例議案に付した意見を大切に、施行に向けてしっかりと対応するよう望むことを述べたところであります。  条例の施行は来年4月1日となりますが、今後、新しい時代の障害福祉に向けては、障害当事者や関係団体、県民といった様々な皆様の意見を改めて伺って、有効な形ある施策を積み上げ、進めていかなければなりません。  条例では、施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本計画を定めることとされていますが、条例が目指す当事者目線の障害福祉や地域共生社会の実現には、県民への理解浸透や社会環境の整備に向けて、実効性のある取組を積極的に進めていくことが必要であります。  また、県立障害者支援施設については、令和4年3月に、当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会から、県立施設は率先して、地域生活移行に取り組むこと、また、規模縮小の上、民間移譲も視野に入れた検討を行うことが提言されています。  しかし、民間活用は大事な視点ではありますが、これが単に、県が責任を担わないということになってはいけないことを申し上げておきます。  〔資料提示〕  今後、県立施設は、この条例を規範にして、当事者目線の障害福祉を率先して実践していくことが重要と考えており、特に、利用者支援やガバナンスの問題を指摘されている県立直営の中井やまゆり園は、民間施設の協力を得ながら、県が責任を持って早急に改善を図る必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~」が目指す当事者目線の障害福祉や地域共生社会を具現化するために、どのように取り組んでいこうと考えているのか、また、中井やまゆり園の再生に向けた現在の取組状況と今後の方向性について、併せて見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、110番映像通報システムの導入について伺います。  110番通報の際、スマートフォンで撮影した現場の映像を送信することができる110番映像通報システムを警察庁が開発し、10月1日から、本県を含め、全国で試行運用していることは承知しております。  このシステムのメリットとして、事件・事故の現場において、通報者の気が動転してしまい、その状況を早く正確に通報することが困難な場合に、その現場の状況を映像で送信することにより、一目瞭然な通報が可能になるものと聞いております。  また、現場に向かう警察官にシステムを使って映像を提供することで、現場の状況がより早く、より正確に把握することができ、結果、犯罪等の早期解決につながるものと考えられます。  特に、多重交通事故現場、また、ひったくりや強盗等の被疑者の人相着衣や逃走車両、行方不明者の容姿、火災や風水害の被災状況などは、映像があることが有効な事例だと考えられます。  しかし、その一方で、実際にシステムを利用するには様々な制限があり、まず大前提として、通話とカメラが同時に使用できるスマートフォンに限られています。さらに、利用者が個別に設定したセキュリティー制限が影響する場合や、利用できないバージョンもあるとのことです。  また、通報者に、ショートメッセージの利用やスピーカーへの切替えなどの操作を行ってもらう必要があること、通信料の負担や送信した映像の著作権を放棄してもらうことなどの留意事項に同意してもらう必要があり、システムを利用するまでの手続が煩雑であり、特に、スマートフォンの扱いに不慣れな方にとっては、ハードルが高いのではないかと感じております。  しかし、このシステムの有用性は非常に高く、ぜひ活用していくべきと感じておりますので、今後、多くの県民に、システムの存在と有用性について理解を頂き、誰もが有事の際には簡単にシステムを利用できるよう、本県での試行運用を通じ、課題を抽出し、改善につなげ、来年4月からの本実施に備えるべきと考えます。  そこで、警察本部長に伺います。  110番映像通報システムの導入に当たり、今後、県民への周知と、利用促進を図るためにも、現在の取組状況と本実施に向けた対応方策等について見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県民のいのちを守る施策について、何点かお尋ねがありました。  まず、冬の新型コロナウイルスの感染再拡大に備えた対応についてです。  この冬の新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行の懸念に対しては、重点的に守るべき方たちを守りながら、医療の逼迫を防ぐ取組が重要です。  具体的には、オミクロン株でも重症化するリスクが相対的に高い高齢者と、インフルエンザの流行の主体となる小児について、しっかりと医療を提供できる体制を確保していくことが必要です。  県ではこれまで、県民の皆様に改めて、基本的感染対策を徹底することに加え、コロナとインフルエンザの両方のワクチン接種を積極的に検討することをお願いしてきました。  しかし、この冬、コロナとインフルエンザが同時に流行した場合には、発熱外来が不足することが懸念されます。そこで、県民の皆様には、発熱した場合に備えて、コロナの抗原検査キットと解熱鎮痛剤の常備を呼びかけています。  このキットの常備を一層促進していくには、県民の皆様が購入しやすい価格であることが求められますので、国に対し、市場価格の引下げにつながる施策の実施を要望しています。  また、発熱外来機能を拡大するためには、感染対策の設備が不要で、医療従事者自身も感染から身を守ることができるオンライン診療の拡充が有効です。そこで、医療機関に対し、機器導入経費の補助やオンライン診療に関する説明会を実施しています。  こうした取組を通じて、県民の皆様や医療機関をはじめとした関係機関と一体となって、この冬の感染拡大に備えてまいります。  次に、神奈川県水防災戦略の内容充実と風水害対策の強化についてです。  全国各地で大規模な風水害が頻発する中、近年の災害をめぐる課題や教訓を基に、水防災戦略の充実を図り、対策を強化することは極めて重要です。  気候変動の影響による豪雨の頻発、降雨量の増大が顕著となる中、河川管理者だけでなく、流域に関わる関係者が協働して流域全体で取り組む流域治水対策の推進が急務となっています。  また、昨年7月の静岡県で発生した土石流災害を受け、私は、全国知事会危機管理・防災特別委員会委員長として、全国を代表し、国に盛土規制の強化に関する緊急要望を実施しました。  これを受け、国は直ちに盛土規制法を改正したところであり、県は、関係自治体と連携し、基礎調査や規制区域の指定等、取組の強化を図ることが必要です。  さらに、水害からの逃げ遅れを防止するには、災害発生前から災害対策本部を立ち上げ、市町村と連携し、迅速に避難対策を講じる体制強化も大切です。  このほか、進展著しい防災におけるデジタル化や感染症との複合災害対策、ライフライン被災時のトイレ対策等、近年の災害で顕在化した様々な課題に対応するため、県は全庁を挙げて検討を深め、このたび戦略の改定素案を取りまとめたところです。  県は、今後行うパブリックコメントや県議会の御意見も踏まえ、来年度から3か年を見据え、対策を強化した改定水防災戦略を今年度中に取りまとめ、風水害から命を守る対策を強力に進めてまいります。  次に、気候変動を踏まえた河川の水害対策の推進についてです。  近年、全国各地で、これまで経験したことのない豪雨による水害が発生しており、こうした気候変動による河川の水害への対策が求められています。  これまで県は、大河川はおおむね100年に1回、中小河川は10年に1回発生する大雨でも氾濫しないよう、堤防や遊水地等の整備を行ってきました。しかし、気候変動の影響による降雨量の増加に対応していくためには、これまでの取組の枠を超えて、さらなる対策の強化を図っていく必要があります。  こうした中、河川整備だけでなく、流域のあらゆる関係者が協働して水害軽減に取り組む流域治水への転換が進められています。  本県でも流域治水の取組を始めており、主要な河川において、従来進めてきた河川整備の取組を基本として、これに、関係者が新たに行う対策などを追加し、流域治水プロジェクトとして策定しました。  今後の取組ですが、ハード対策としての河川整備は、国の国土強靱化予算を活用し、さらに加速させます。  これに加え、河川の整備状況を踏まえた上で、学校のグラウンドや公園等の公共施設に雨水を一時的にためる施設の整備を促進するなど、流域治水プロジェクトの事業の具体化に向け、取組を進めます。  さらに、ソフト対策として、住民の逃げ遅れゼロを実現させるため、住民一人一人の避難計画であるマイタイムラインの普及といった取組も一層推進します。  こうした取組により、気候変動を踏まえた水害対策を進め、県民の安全・安心を確保してまいります。  次に、神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例が目指す理念の具現化についてです。  条例が目指す当事者目線の障害福祉を具現化するためには、県民の皆様の理解をはじめ、重度障害者の地域生活移行の推進や、支える人材の不足といった大きな課題に取り組んでいく必要があります。  そこで、障害に対する地域の理解を促進するため、あらゆる世代が障害者と一緒に活動する機会を増やすとともに、条例の分かりやすい版「みんなで読める神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~」などを活用し、県民全体への周知・啓発を進めます。  また、重度障害者を受け入れることができるグループホームなどの地域資源や、本人が望む生活の実現に向けた相談支援体制の充実などを検討していきます。  さらに、人材の確保については、福祉に関心のある学生や福祉関係の経験のある高齢者などを着実に就労につなげていくための方策や、専門性を有する人材の負担軽減が図れるよう、支援補助員を配置するなど、職員の定着に向けた環境整備の検討を進めていきます。  こうした取組を来年度策定する条例の基本計画にしっかりと盛り込み、条例の具現化を図っていくべきと考えています。  次に、中井やまゆり園の再生に向けた取組状況と今後の方向性についてです。  人権意識の欠如やマネジメント機能の喪失といった指摘を受けた中井やまゆり園は、民間の支援改善アドバイザーの力を借りながら、現在、再生に向けた取組を進めています。  この取組の中で、一日の生活をほぼ居室の中で過ごしていた利用者が、居室から出て、他の利用者と一緒に古い手帳の解体作業といった日中活動に参加したり、公共交通機関を使って施設外の事業所に通うなど、変化が見られ始めています。さらに、今月からは、秦野の駅前に活動の拠点となる場を確保し、公園清掃や花壇整備など、地域活動への参加なども始めました。  こうした利用者の変化を目の当たりにした園幹部職員はリーダーシップを発揮し始め、あわせて、直接支援に当たる職員も利用者の可能性に気づき、意欲が高まるなど、園における改善の兆しが見えています。  さらに、この取組を継続するためには、現在、外部有識者等で構成する支援改革プロジェクトチームで改革プログラムを取りまとめていただいています。その内容は、支援方法の改善策や日中活動のさらなる充実策に加えて、職員体制の見直しなども盛り込み、これを実践し、継続的な取組としていきます。  生まれ変わった中井やまゆり園が、条例が目指す当事者目線の障害福祉を、先頭を切って具現化していけるよう、園の再生に全力で取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔警察本部長(林  学)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 林警察本部長。 ◎警察本部長(林学) 110番映像通報システムの導入についてお答えいたします。  初めに、本システムの概要ですが、110番通報を受けた警察職員は、通報内容から、映像情報の必要性があると判断した場合には、通報者に対し、周囲の状況確認と安全確保を最優先とするようお願いした上で、映像送信を依頼しております。  これまでの本システムの運用実績ですが、10月1日の試行運用開始から11月25日までの間に、66件の依頼に対して、37件の映像送信を行っていただきました。  具体的な例を挙げますと、最も多いのが、お子さんがいなくなったという通報に際して、お子さんの画像を送信していただいたケースであり、その画像を直ちに警察署へ手配して捜索に活用しました。  依頼をした中で、映像送信に至らなかった主な理由としましては、スマートフォンでなかったこと、対応できない機種や設定であったこと、操作に時間を要し、その間に警察官が到着したことなどがありました。  次に、本システムの県民への周知についてですが、本システムにつきましては、これまでも、警察庁が主体となって広報を行っておりますが、県警察におきましても、報道機関からの取材に対応するなど、広報に努めております。また、県警のホームページやツイッターに本システムの利用方法等を掲載しております。  今後も継続して、様々な機会を通じて、県民への周知に努めてまいります。  本システムの本実施に向けて、本システムを開発した警察庁では、通報者の利便性向上のため、改善点があれば随時改善を進めることとしておりますので、より使いやすいシステムにするため、県警察におきましても、本システムの利用促進を図るとともに、システムの運用状況を踏まえ、その効果と課題等を積極的に警察庁へ伝えてまいります。  以上でございます。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 それでは、1点、再質問をさせていただきます。  神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例が目指す理念の具現化についてであります。  今後、実効性のある取組を進めていくために、まずは、県職員が率先して当事者目線の障害福祉に対する認識を深めていかなければならないと考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  当事者目線の障害福祉の実現に向けては、まずは、県職員が当事者目線を深く理解し、実効性のある施策の実践につなげていく必要があると考えております。  そこで、私がトップを務める県の共生推進本部において、幹部職員に対し、条例の理念をしっかりと伝えるとともに、職員一人一人に理念の浸透を進めるための効果的な方策について意見交換を行っています。  また、新規採用職員をはじめとした若手職員に対しても、津久井やまゆり園の鎮魂のモニュメントを活用して誓いを新たにした上で、ともに生きる社会かながわ憲章の理念や、県が目指す当事者目線の障害福祉の理解に向けた研修を行っているところです。  今後は、障害当事者を講師とした研修を実施するなど工夫を重ねながら、さらに県職員の理解を深め、条例の目指す地域共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。  答弁は以上です。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 それでは、要望を何点かさせていただきます。  まず、神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例が目指す理念の具現化についてであります。  条例制定は、あくまでスタートであります。ゴールではありません。この条例が目指す理念を、いかに具現化していくかが今後の課題です。そのためにも、県職員全員が条例の理念を共通認識し、目指す理念を具現化していくことを要望します。  続いて、110番映像通報システムの導入についてでありますが、県民にこのシステムを最大限活用していただくためにも、この試行期間中に得た情報をしっかりと警察庁に伝え、連携をしていただき、より使い勝手のよい、誰もがすぐに利用しやすいシステムに改善されることを要望させていただきます。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 質問の第4は、県政の重要課題についてであります。  〔資料提示〕  初めに、県内行政機関の保健師の確保について伺います。  行政機関で働く保健師は、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症対策のほか、母子保健対策、生活習慣病対策、高齢者支援、精神保健福祉対策など、幅広い分野の健康課題に取り組んでいます。  近年は、地域住民の健康管理の支援や子育て支援、さらに、虐待防止や災害時の健康危機管理など、保健師に求められる役割や活動範囲は広がってきており、私たちの命と健康を守る存在として大変重要な役割を担っております。  しかし、令和2年の衛生行政報告例によると、本県の人口10万人当たりの保健師数は全国最低の26.9人となっており、全国1位の長野県の82.6人と比較すると大きな開きがあり、また、全国平均の44.1人と比べても、大きな差があります。  人口当たりの保健師数が多い都道府県のほうが、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制できている、あるいは健康診断やがん検診などの受診率が高いという研究結果についての報道もありましたが、本県においても、保健師の必要数を確保していくことは喫緊の課題であると考えております。  〔資料提示〕  この2年間では、新型コロナウイルス感染症の流行により逼迫する保健所業務に対応するため、即戦力となる経験者を採用するなど、県や保健所設置市が保健師の確保に取り組んできたものの、保健師を十分に確保できているとは言えない状況は続いており、新型コロナウイルスが収束した後でも、高齢社会が一層進展することが見込まれる中、これを支える保健師の確保は、今後も引き続き必要と考えております。  また、県や保健所設置市だけでなく、一般市町村においても、今後、健康づくりや母子健康、高齢者福祉などの施策を進めていく上で、保健師の役割は重要であります。  県内市町村において、保健師の確保には苦労していると聞いており、広域自治体である県としても、こうした市町村における確保の取組を支援していくべきと考えております。  そこで、知事に伺います。  今後、県内行政機関の保健師の確保について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、本県の今後のスポーツ施策について伺います。  今、サッカーワールドカップの熱戦で世界中が盛り上がり、スポーツの持つ力を強く感じております。  こうした中、本県でも、スポーツの力を培ってきたと認識していますが、その力がどこまで育まれてきたのか、また、今後はどのように、県政に根づかせていくのか、その展望について質問をしてまいりたいと思います。  本県は、平成28年度に、教育委員会が所管するスポーツ行政を知事部局に移管するとともに、障害者スポーツや高齢者スポーツ、国際的スポーツイベントなどの関連施策を集約し、様々なスポーツ施策を効果的、一体的に推進するためにスポーツ局を設置したと承知しております。  その後、ラグビーワールドカップの開催や、コロナ禍で1年延期して開催された東京2020大会は、県民に大きな感動と勇気を与え、また、先日開催された、ねんりんピックかながわ2022では、選手や多くの関係者が本県を訪れて、大きな盛り上がりを見せたところであります。  こうした大規模な大会の開催を通じて、様々な立場にある人々の誰もが共に活動し、つながりを感じながら、スポーツを楽しめる社会の実現を目指していく必要性を感じたところです。  また、コロナ禍でスポーツ活動が中止や延期を余儀なくされ、スポーツに親しむ機会が失われた時期を経て、待ち望んだ様々なスポーツ活動の再開により、県民のスポーツへの意欲は、ますます高まっていると感じております。  これまで醸成してきたスポーツの機運が大いに高まっている今、大会を経た後の新たなステージとして、スポーツをどのように活用し、社会の発展に生かしていくのかが大きな課題であり、大規模な大会が終了した現在、今後のスポーツ施策をどのように展開するのかが問いかけられる重要な時期を迎えたと認識しています。  県としては、スポーツへの関心の高まりを一過性で終わらせることなく、スポーツの発展とともに、社会的な課題の解決に生かしていくなど、新たな発想で取り組んでいくことも重要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  大規模なスポーツ大会を経て、スポーツを活用した新たな施策の展開が求められていると考えますが、本県の今後のスポーツ施策をどのように進めようとしているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、県立特別支援学校の整備について伺います。  全国的に特別支援学校の在籍者数が増加し、慢性的な教室不足が続いている教育環境を改善する観点から、令和3年9月に特別支援学校設置基準が制定されました。  そうした中、県教育委員会では、令和4年3月に、かながわ特別支援教育推進指針を策定し、今後、特別支援教育を必要とする児童・生徒の増加が見込まれる地域については、障害の重度・重複化、多様化という状況も踏まえ、県立特別支援学校の整備に取り組んでいくとしています。  特別支援学校は、障害のある子供たちの大切な学び場であるとともに、一人一人に応じた指導・支援を行う特別支援教育を推進していく大きな役割が期待されています。  具体的には、医療や福祉の専門機関等とも連携しながら、地域の小中学校や高等学校に対し、助言等を行うなど、各地域における特別支援教育のセンター的機能を発揮していくことが求められています。  こうしたことから、県立特別支援学校の整備においては、我が会派としても大いに注目し、これまで議会において質疑を重ねてきたところであり、本年2月の本会議代表質問において、教育長から、川崎南部地域では、旧川崎市立河原町小学校の跡地を候補地として整備を進めること、また、湘南地域では、藤沢養護学校に隣接する総合教育センター旧亀井野庁舎跡地を整備し、肢体不自由教育部門の開設を進めるとのことでありましたが、横浜東部地域については、今後、横浜市教育委員会とも連携しながら、整備に向け、早急に詰めていくとのことでありました。  学校の新設に当たっては、地域の理解も大切であり、地域と共にある学校という観点から、地域にお住まいの方々の意見や願いを十分に受け止めながら、検討を進めてもらいたいと考えています。  そこで、教育長に伺います。  横浜東部地域での新たな特別支援学校の整備に向けた現在の調整状況について伺います。また、新設する特別支援学校の在り方について、地域と共にある学校という観点から、今後どのような方向性を持って整備を進めていくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  最後に、本県の子ども施策の充実について伺います。  我が国の少子化は、今年上半期の出生数が速報値で約38.5万人と、初めて40万人を下回るなど、予想を上回るペースで進んでおります。  加えて、今日の社会状況にあっては、子育て世帯においても、日々の生活や将来に対する不安が増しており、安心して妊娠・出産、子育てできる環境づくりが求められております。  こうした中、国は令和5年4月に、こども家庭庁を設置するとともに、出産育児一時金の大幅な増額や、令和4年4月に遡及して10万円相当の出産準備金の支給を閣議決定するなど、子供施策を強化していくこととしております。  また、子育て支援の主体である市町村においても、子育て世帯の経済的不安を払拭すべく、小児医療費助成を拡充し、小児医療費負担の軽減を図ろうとしております。  県内の状況を見ても、来年度から、横浜市、藤沢市、大和市が小児医療費助成における所得制限を全て撤廃することとしております。また、川崎市は、補助対象年齢を中学校卒業まで引き上げることとしております。  これに伴い、県が助成制度を拡充するよう、市町村の期待が強まっていると承知しております。  小児医療費助成については、毎年、市町村からも要望を頂いており、我が会派としても、次の世代を担う子供の施策は重要な課題と認識しているところです。  国や市町村の状況を踏まえると、今こそ、県としても、子供施策の充実に向け、具体的な施策を打ち出すべきときであります。  そこで、知事に伺います。  県として、今後、小児医療費助成制度の拡充を含め、子供施策の充実に、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の重要課題について、何点かお尋ねがありました。  まず、県内行政機関の保健師の確保についてです。  県民の皆様の健康寿命の延伸を図るため、地域における健康づくりを支援する担い手である保健師を確保していくことは大変重要です。  これまで県では、保健師を確保するため、新卒者のほか、平成30年度から経験者採用も開始し、今年度までに33名を採用しました。また、コロナ対応で逼迫する保健所業務を支えるため、経験者については、年度の途中に前倒しで採用し、即戦力として活躍していただいています。  さらに、市町村の保健師確保についても、県・市町村で共同して就職説明会を行うなど、支援に取り組んできました。  しかし、本県の人口10万人当たりの保健師数は、いまだに全国最下位であり、十分な確保が進んでいるとは言えません。  そこで、県では昨年度、有識者や市町村、養成機関などをメンバーとした検討会を立ち上げ、保健師の採用や採用後の人材育成・定着などに係る課題を整理し、今後の対策を議論しました。  具体的には、県外からも人材を確保できる募集方法や奨学金の導入、人材育成・定着に向けた研修の充実などについて意見を頂きました。現在、検討会での意見を参考にして、保健師を目指す学生を県内外から幅広く呼び込めるような支援策を検討しています。  こうしたことにより、今後も、県内行政機関の保健師の確保にしっかりと取り組んでまいります。  次に、本県の今後のスポーツ施策についてです。  ラグビーワールドカップ2019や東京2020大会、また、先日、無事終了しました、ねんりんピックかながわ2022では、選手の躍動する姿に多くの人々が感動し、県民のスポーツへの関心が高まりました。  また、先月、3年ぶりに開催された横浜マラソンでは、私自身も参加し、約2万2,000人のランナーと共に走り、感動と興奮に包まれた大きな盛り上がりを現場で感じました。  このように、県民のスポーツへの関心が大いに高まっている今、スポーツが社会の発展に貢献していくことが、ますます期待されています。また、アーバンスポーツなど新しいスポーツの登場や、部活動の地域移行に向けた動きなど、スポーツを取り巻く社会環境の変化を踏まえたスポーツ施策を展開していく必要があると考えています。  そこで、これまでの取組をさらに発展させるとともに、新たに地域活性化や共生社会の実現などの社会的な課題の解決にスポーツの持つ力を活用していくこととし、現在、見直しを進めているスポーツ推進計画にも盛り込んでいきたいと考えています。  具体的には、スポーツツーリズムの取組やプロスポーツチーム等との連携により、地域活性化を図っていきます。また、パラスポーツや女性のスポーツの推進など、誰もがスポーツに親しむことができる環境づくりを進め、共生社会の実現にもつなげていきたいと考えています。  県では、スポーツの持つ力を最大限に活用し、様々な主体と連携しながら、新たなスポーツ施策を推進していくことで、県民生活がより豊かなものとなるよう取り組んでまいります。  最後に、本県の子ども施策の充実についてです。  令和5年4月施行のこども基本法では、地方公共団体の責務として、国や他の地方公共団体と連携を図りつつ、子供の状況に応じた施策を進めることを求めており、県では、市町村と緊密な連携を図りながら、具体の施策を検討しています。  また、子供施策の充実に向けては、全庁体制で多面的に取り組むため、私を本部長とする子ども・青少年みらい本部で幹部職員と議論するとともに、子育てを実際に行っている職員などを対象に、庁内に幅広く参画を呼びかけ、ワーキングチームを設置したところです。  議員お話しの小児医療費助成制度については、県は市町村と一体となって、子供の健全育成と保護者の経済的負担の軽減を図るため、市町村への財政支援を行っています。  本来、医療費の助成は、国が全国一律の制度として措置すべきであり、これまでも全国知事会などと連携しながら、国に粘り強く働きかけてきましたが、いまだ実現されていません。  こうした中、市町村は、子育て世代がさらなる安心感を得ることや経済的負担の軽減のために、小児医療費助成制度の拡充を図ろうとしています。  また、本件についてはこれまで、立憲民主党・民権クラブ、公明党など様々な会派からも御提案、御要望を頂いてきました。こうしたことから、県も、市町村へのより一層の支援が必要と判断しました。  そこで、小児医療費助成制度の対象年齢を現行の6歳までから小学校卒業の12歳まで引き上げ、これを令和5年4月から実施していきたいと考えています。  県は、小児医療費助成制度の拡充などにより、子育て支援の強化に取り組む市町村を下支えし、県と市町村が一体となって、全ての子供のいのち輝く神奈川の実現を目指して、しっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係の御質問にお答えします。  県立特別支援学校の整備についてお尋ねがありました。  県教育委員会では、本年3月に策定した、かながわ特別支援教育推進指針で、県立特別支援学校の整備の方向性を地域ごとに示しています。  その中では、今後、特別支援学校を必要とする児童・生徒の増加が見込まれる川崎南部地域、横浜東部地域及び湘南地域で、県立特別支援学校を新たに整備することとしています。  このうち、横浜東部地域における新校の設置場所等について、これまで横浜市教育委員会と協議を重ねてきました。その結果、神奈川区菅田町にある旧横浜市立菅田小学校を候補地として整備を進めていくことを、今月、横浜市教育委員会と確認しました。  今後、旧菅田小学校に、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を有する県立特別支援学校を設置するために必要な施設・設備やスケジュール等について、具体的な検討を進めていきます。  また、新校の設置に当たっては、既存の県立特別支援学校で行っている地域との交流活動や、学校施設の地域開放を積極的に実施するなど、地域と共にある学校という視点を大切にしたいと考えています。  県教育委員会では、今後も横浜市教育委員会と連携し、地域の皆様の御意見も伺いながら、地域に開かれた新たな特別支援学校の整備をしっかりと進めてまいります。  答弁は以上です。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 それでは、再質問を1点させていただきます。  ただいま答弁を頂きましたけれども、県立特別支援学校の整備について、お伺いします。  横浜東部地域における県立特別支援学校の新設について、今、答弁を頂きました。一方で、今回、示された候補地の近隣には、私の地元でありますけれども、既に県立みどり養護学校、また、隣の上菅田にありますけれども、横浜市立上菅田特別支援学校が設置されており、障害のある子供たちの学びの場となっています。  これらの学校が既に設置されている中、この場所に新たに県立特別支援学校を設置していく趣旨について、教育長の見解を伺います。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係の再質問にお答えいたします。  横浜東部地域やその周辺地域では、今後も特別支援学校を必要とする児童・生徒が増加し、既存の特別支援学校だけでは、受入れ枠不足が想定されます。  こうした状況を、まず解消することが新校設置の趣旨ですけれども、その整備に合わせて、既存の特別支援学校の通学区域を見直すなど、子供たちがより身近な学校で学べるよう配慮してまいります。  以上でございます。  〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 柳下剛君。  〔柳下 剛議員登壇〕 ◆柳下剛議員 それでは、何点か要望をさせていただきます。  まず、県立特別支援学校の整備についてであります。  共生社会の実現を目指すインクルーシブ教育を推進する中でも、障害のある子供たち一人一人に応じた指導・支援を行う特別支援教育を必要とする子供たちへの対応は欠かせません。  横浜東部地域やその周辺では、今後も一定数、特別支援学校を必要とする児童・生徒の増加が見込まれていることから、今回の新校の候補地が示されたということは理解をします。また、今後の整備に向け、期待がさらに高まるところであります。  今後の整備については、障害のある子供たちの実情や地域の方々の思いなども踏まえて、横浜市教育委員会と連携・協力しながら、特別支援学校に通う子供たちが安心して学べる環境づくりに努めていただくよう要望させていただきます。  続いて、本県の今後のスポーツ施策についてであります。  今、サッカーのワールドカップは大いなる盛り上がりを見せております。神奈川県も、大規模なスポーツイベントを経て、スポーツの価値が改めて明らかになったと思っています。県民誰もがスポーツに親しめる社会の実現が大いに期待されます。  また、スポーツを通じて、人と人、地域と地域をつなぎ、さらに社会の発展に向けて、スポーツ施策を推進することが期待されております。  県行政において、スポーツの役割がますます重要になっている今、スポーツの持つ力を最大限に生かし、今まで以上に積極的にスポーツ施策に取り組んでいくことを要望させていただきます。  最後に、本県の子ども施策の充実について要望を申し上げます。  小児医療費助成の拡充については、我が会派も毎年、市町村から要望を受けており、県に対し強く要望もしてまいりました。前向きな答弁を頂いたことで、市町村の負担軽減につながるかと思います。  しかし、少子化に歯止めがかからない我が国において、住む地域に関係なく、安心して、妊娠・出産、子育てができる環境づくりのため、小児医療費の助成の拡大は、自治体間で差がある取組ではなく、国の責任において全国一律の制度にすべきと考えます。  来年度にはこども家庭庁が設置され、子供施策が強化されることから、我が会派としても、県と共に、全国一律の子供の医療費助成制度を構築するよう国に求めてまいりたいと思っております。  多少時間も残りましたけれども、今日、何点か質問をさせていただきました。あとは、常任委員会で議論を深めていただいて、この大切な時期の施策を前に進めてまいりたいと思います。  これにて、私の代表質問を終わらせていただきます。  どうも御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(しきだ博昭) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(しきだ博昭) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後3時3分 休憩       ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和4年第3回-20221130-029333-質問・答弁-栄居学議員-代表質問①安全・安心な社会の実現に向けた取組について②県政の重要課題について》                   午後3時25分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共100名 ○副議長(曽我部久美子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) 質問を続行いたします。  栄居学さん。  〔栄居 学議員登壇〕(拍手) ◆栄居学議員 川崎市川崎区から選出をいただいております、栄居学でございます。  議長のお許しを頂きましたので、私は、立憲民主党・民権クラブ神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い、質問をいたします。  知事、警察本部長、教育長におかれましては、明快な御答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、お願いいたします。  〔資料提示〕  質問の第1は、安全・安心な社会の実現に向けた取組について、5点伺います。  初めに、国民保護の取組強化についてです。  北朝鮮からの弾道ミサイル発射による挑発行為が頻発しており、本年10月4日には、日本上空を飛び越えた弾道ミサイルにより、国内でJアラートが発令された地域もありました。度重なる弾道ミサイルの発射は、日本国土への着弾、落下のおそれがあり、許し難い蛮行であります。  このような状況下においては、武力攻撃や大規模テロなどから、国民の生命、身体、財産を守るための国民保護の取組が一層、重要度を増してくるのではないでしょうか。  特に、弾道ミサイルが発射され、我が国に落下のおそれがある場合などに、住民が被害を逃れるための緊急一時避難施設の確保は重要になってきます。  本県の緊急一時避難施設の指定について、昨年4月時点で、人口に対する充足率は約4割にすぎず、データを分析すると、県域では100%を超えているものの、特に県内政令指定都市において不足している状況が見受けられます。こうした実態から、県は、指定権限を有する政令市と連携し、少しでも多くの避難施設の確保を図るべきであります。  武力攻撃から国民を守る国民保護は、法制度としても新しく、自然災害と比べてもなじみが薄く、ミサイル発射時の対応についても、自治体の職員は経験もなく、ノウハウが少ないのではないかと推測します。また、住民の避難についても、どのように行動すればよいのか戸惑う県民も少なくないのではないでしょうか。  そのため、国民保護に関する普及啓発に加え、訓練が重要になってきます。  まずは、県職員がミサイル攻撃などの武力攻撃事態に際して、どのように対処するのか、知識やノウハウの向上を図ることが必須であると考えます。  さらに、住民の避難訓練も大切です。市町村が主体となって実施する自然災害時の避難訓練は、今やどの地域でも行われておりますが、国民保護を想定した訓練は浸透しておらず、全国的にも実施している例は多くないと承知しています。  しかし、国民保護への理解を深める意味でも、国や市町村、特に政令市と連携し、できる限りの努力をする必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  万一の武力攻撃事態を想定し、避難施設の指定拡大や訓練の充実など、国民保護の取組強化が必要と考えますが、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、ヘイトスピーチ解消に向けた取組についてです。  令和3年第2回定例会で我が会派が、実効性のあるヘイトスピーチ解消に向けた取組として条例制定を提案したところ、知事から、今任期中に条例の制定を考えていない旨の答弁がありました。  条例の制定を考えない理由として、条例を制定しても、ヘイトスピーチの解消に実効性を担保することができないということであります。しかし、こうした知事の見解の正否については、川崎市など、ヘイトスピーチ規制を含む人権条例を制定した自治体の実態を、まずはしっかりと分析していただきたいと考えます。  そして、こうした知事の答弁を受けて、我が会派は、県議会厚生常任委員会において、条例を制定したとしても、ヘイトスピーチ解消に実効性が見込めないと言うならば、一体どのような方法で解消していくのかという趣旨の質疑を行いました。  〔資料提示〕  県の考え方は、かながわ人権指針の中にヘイトスピーチを明記するとともに、これまでと同様に、ヘイトスピーチは許されないことであると啓発を行っていくとのことでありました。  しかし、果たして、条例を制定しても実効性が担保できないというものを、こうした従来のやり方だけで事態が改善され、苦しんでいる方々が救われるのか、私は疑問であります。  そして、先月開かれた決算特別委員会においても、我が会派からは引き続き、この議論を行いました。  〔資料提示〕  この質疑において明らかになったのは、県が設置しているヘイトスピーチによる誹謗中傷に悩む方々への弁護士相談事業が、令和3年、そして4年ともに活用されていないという実態でありました。  昨今のヘイトスピーチに関係する裁判の状況や報道などを見れば、言うまでもなく、ヘイトスピーチによって悩んでいる人がいないということではありません。県には、こうした事業の実績について、原因を分析し、改善をお願いしたいと思います。  また、NPOの力を借りて、差別を助長するような書き込みがないか確認するインターネットモニタリングを行っていることも承知しておりますが、ヘイトスピーチ関係のモニタリングの報告件数582件に対して、本県が国を通じて行った削除依頼数は110件であり、実際に削除を確認できたものは、僅か17件にとどまっているとのことであります。  現在は、このように、国を通じて削除依頼をしており、実際に削除するまでに時間がかかっていることも課題の一つと考えます。  今後、ヘイトスピーチは、現実世界だけでなく、インターネット上での活動が活発になることが予想される中で、本県としても、実効性のある具体的な取組を前に進めなければいけないと考えます。  そこで、知事に伺います。  ヘイトスピーチ解消に向けて、今後さらなる取組を進めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、コロナ対策におけるオンライン診療の更なる推進についてです。  新型コロナウイルス感染症は、第8波に入ったという見方が強まっており、この冬はインフルエンザとの同時流行も懸念されているところであります。  〔資料提示〕  第7波においては、1日に最大2万人近い新規感染者が発生したことで、発熱外来が逼迫する事態となりました。これまでの傾向を踏まえると、次の波が到来した際には、前の波を上回る勢いで感染者が急増することを想定しておかなければいけません。  そうした中で、私が今後のコロナ対策の一つの鍵と考えるのが、パソコンやスマートフォンのビデオ通話などによるオンライン診療です。  9月の定例会において、我が会派の須田こうへい議員の質問に対し、知事からは、コロナ医療におけるオンライン診療の拡充に向けた支援策について検討していく旨の答弁がありました。  現在、発熱外来の対応を行っていない診療機関にも、新型コロナウイルス感染症のオンライン診療に参加してもらうことができれば、医療機関の逼迫緩和につながると考えますし、ひいては医療機関全体の負荷を軽減することが期待されます。  また、10月末に開催された県の感染症対策協議会においても、自宅での抗原検査キットの活用とともに、オンライン診療を推進する構想が県から示されました。この構想の実現に向けて、第8波の感染拡大に対応できるよう、早急に体制を整えていく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  この冬の新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応として、オンライン診療のさらなる推進に向けて、どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、米軍基地におけるPFOS等への取組についてです。  本年6月以降、米海軍横須賀基地及び厚木基地において、有機フッ素化合物の一部であるPFOS等の流出が判明しました。  PFOS等については、研究段階とはいえ、発がん性など健康への影響が懸念されており、国際的に製造や輸入が制限されております。そのような物質が米軍基地から相次いで流出したことは、重大な問題であります。  その後、横須賀基地では、粒状活性炭フィルター装置が設置されるなど、対策が進められていると承知しておりますが、装置設置による長期的な効果は明らかになっておらず、流出の根本的な原因も依然として不明であることから、今後もさらなる対応が必要であると考えます。  また、国から県への情報提供によると、現在、米軍は、PFOS等を含む泡消火剤の代替品への交換を進めており、沖縄の海兵隊基地や本州の米陸軍基地、横須賀基地など一部の海軍基地では、代替品への交換が終わっているとのことであります。しかし、こうした情報提供の内容は不十分なものと言わざるを得ません。  この問題の重大さを考えると、全国の米軍基地を対象に、基地ごとのPFOS等を含む泡消火剤の保管量や、交換の予定時期等が明らかにされてしかるべきであると考えます。  また、この物質が長期間分解されない性質を持っていることを考えると、過去の使用実態を把握し、必要に応じて、地下水等への影響についても調べる必要があるのではないでしょうか。  そこで問題となるのが、日米地位協定の壁であります。日米地位協定上、環境に関する日本の国内法令は米軍には適用されず、日本側の調査権限も大きく制約されています。  沖縄県の調査によれば、例えばドイツでは、米軍基地に、環境に関するドイツの法令が原則として適用され、自治体等による立入調査の権限も、我が国と比較して広く認められているとのことであります。  日米地位協定を改定し、我が国の法令を適用することにより、日本側の権限を強化し、情報の開示を促進することが問題の解決に必要であると考えます。今回の問題を契機に、日米地位協定の改定を改めて強力に働きかけていくべきではないでしょうか。  そこで、知事に伺います。  今回の県内米軍基地からのPFOS等の流出を踏まえ、米軍基地におけるPFOS等に関する使用実態の把握等の問題に対して、どのように取り組んでいくのか、また、環境法令の適用など日米地位協定の改定に向けて、どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、自転車利用者に対する指導取締りについてです。  近年、県民のライフスタイルの変化やコロナ禍の影響等により、自転車利用のニーズが高まりを見せ、以前にも増して、自転車利用者の交通ルールの遵守の徹底が求められています。  自転車は、幼児から高齢者まで幅広い年齢層の方が利用する身近で便利な乗り物でありますが、自転車利用者の交通違反や交通マナーの悪さを指摘する声は依然として多く、携帯電話を操作しながらの運転など、危険な自転車の走行が散見されます。  〔資料提示〕  我が会派では、これまでも、良好な自転車交通秩序を構築するためには、自転車利用者等の個々の意識・行動が重要であるため、県民に対し、目に見える形で取締りを行うなどして、自転車も交通違反をすれば取締りを受けるということを認識してもらうとともに、自転車に関する交通ルールや安全な乗り方などを伝えていくことが有効であると訴えてきました。  こうした中、警視庁においては、先月末から、自転車による交通違反の取締りを強化することとしたとの報道がなされたところであります。  当県においても、いまだ自転車利用者の交通ルール・マナーの浸透が十分でない状況にあることを鑑みれば、自転車利用者に対する指導取締りを強化していくことが必要であると考えます。  そこで、警察本部長にお伺いいたします。  自転車利用者に対する指導取締りの現状及び今後の取組について、警察本部長の所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 栄居議員の御質問に順次お答えしてまいります。  安全・安心な社会の実現に向けた取組について、何点かお尋ねがありました。  まず、国民保護の取組強化についてです。  北朝鮮による弾道ミサイルの発射の頻発化など、緊迫度を増す国際情勢の中、ミサイル等の武力攻撃から身を守る避難施設の拡大を図ることは重要な課題です。  県は、こうした情勢を踏まえ、今年度、指定の権限を有する政令市とも連携し、地下施設等の指定促進を図っており、既に地下鉄施設や国道の地下通路等の追加指定を行ったところです。今後も引き続き、民間施設の指定の促進に努めるほか、指定可能な県所管施設の情報を提供するなど、政令市の指定拡大を支援してまいります。  また、ミサイル攻撃など、これまで経験したことのない武力攻撃事態を想定した訓練の充実も重要です。  県は11月に、国や横浜市等と、テロから武力攻撃に発展する事態を想定した図上訓練を実施し、事態発生時の対処について検討を深めたところです。  さらに、本年度中に、弾道ミサイルによる攻撃を想定した県対策本部統制部の初動対応に係る図上訓練を実施し、情報の収集、被災者の救援や住民避難等の国民保護措置に関する対応力強化を図ります。  国においても、武力攻撃を想定した訓練を推進する動きがありますので、国や市町村、消防や警察、自衛隊などの防災関係機関との連携を一層強化し、実効性のある訓練の実施に努めていきます。  県は今後も、避難施設の拡充や訓練の充実など、国民保護の取組強化を図り、万一の事態への備えを進めてまいります。  次に、ヘイトスピーチ解消に向けた取組についてです。  県ではこれまで、県民一人一人にヘイトスピーチを許さないという認識を持っていただくために、車内広告等を通じた啓発活動を行ってきました。また、インターネット上の差別的な書き込みをチェックするモニタリングや、弁護士相談窓口の設置といった被害に対する支援にも取り組んできました。  さらに、令和4年3月には、かながわ人権施策推進指針を改定し、ヘイトスピーチ解消に向けた取組やインターネットによる人権侵害について、施策の方向性を新たに明記しました。  しかしながら、ヘイトスピーチは後を絶たず、インターネットの特性を悪用した誹謗中傷や差別的な書き込みなども依然として多い状況です。  そこで、これまでインターネット上の誹謗中傷等の差別的な書き込みに対しては、県が法務局に対し、プロバイダーへ削除を求めるよう依頼してきましたが、より迅速な対応を図るため、新たに、県が直接プロバイダーに削除依頼を行うことも検討していきます。  また、県が行う弁護士相談を利用しやすくするため、インターネットでの相談申込みの受付や、リーフレットを作成し、行政窓口で周知するなど、取組の改善を図っていきます。  県は今後も、ヘイトスピーチに悩む当事者の目線に立ち、人権が全ての人に保障され、互いに尊重し合う、ともに生きる社会かながわの実現を目指して、しっかりと取り組んでまいります。  次に、コロナ対策におけるオンライン診療の更なる推進についてです。  この冬の新型コロナウイルスの感染拡大に対し、発熱診療等医療機関の体制を強化するため、オンライン診療の拡充を図ることは重要です。  県では、9月補正予算で、オンライン診療を開始、拡充する医療機関に対し、情報通信機器等の初期費用を補助する制度を整えました。  一方、この冬の第8波では、1日当たりの外来受診者数が最大約3万5,000人に達し、このままでは受診枠が5,000人分不足すると推計しています。こうした需要の増加に対応するためには、医療機関にオンライン診療をどのように行えばよいのか理解し、体験していただき、発熱診療等医療機関を増やしていく必要があります。  そこで、医療機関がオンライン診療を知るきっかけとなるよう、オンライン診療を行っている医師を講師に迎えた指南塾を11月下旬に開催しました。また、実際に、医師に経験していただくため、県医師会や薬剤師会と連携し、地域オンライン診療クリニックを県内に数か所設置する準備を進めています。  さらに、これまで、院内のゾーニングが行えないなどの理由で発熱診療が困難であった医療機関に対しても、オンラインで患者に対応していただけるよう、働きかけていきます。  こうした取組により、県民の皆様に必要な医療を提供できる体制を確保してまいります。  次に、米軍基地におけるPFOS等への取組についてです。  本年6月以降、県内米軍基地からPFOS等の流出が相次いで判明した事態は、基地周辺住民の方々に大きな不安を与えるものであり、大変遺憾です。  その後、米軍は汚染水の浄化等の対応を取っていますが、依然として、横須賀基地において、なぜPFOS等が流出したのか、その原因は不明であるため、早期の原因究明と抜本的な再発防止策の実施等を、引き続き、国に求めていきます。  また、今後、新たな流出事故が起きることのないよう、全ての県内基地におけるPFOS等の保管状況の公表、早期の代替品への交換、交換までの間の安全管理の徹底など、万全の対策を国に求めていきます。  さらに、PFOS等は自然界に長期間残留する可能性があるため、過去からの使用実態を把握し、必要に応じて水質調査等の対策を行うよう国に求めていきます。  加えて、今回の一連の対応に見られたように、基地で環境問題が生じた際に、原因究明等が容易に進まない背景には、日米地位協定には環境に関する条項がなく、我が国の環境法令が米軍には適用されないなど、日米地位協定上の課題があると考えられます。  こうした課題の解決に向け、関係自治体と連携し、引き続き、日米地位協定の改定を国に働きかけていきます。  米軍基地の環境問題は、県民の皆様の安全・安心に関わる重大な問題であり、基地内の環境管理が適切に行われるよう、全力で取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔警察本部長(林  学)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 林警察本部長。 ◎警察本部長(林学) 自転車利用者に対する指導取締りについてお答えいたします。  本年10月末現在、県内における交通事故の発生件数は1万7,204件であり、昨年の同じ時期と比べて234件減少しております。  一方、自転車が関連する交通事故の発生件数は4,445件で、昨年の同じ時期と比べて82件増加しており、交通事故全体の約26%を占めております。また、自転車が関連する交通事故の約7割に、自転車側に何らかの交通違反が認められます。  県警察ではこれまで、自転車が関連する交通事故を未然に防ぐため、自転車利用者に対する指導取締りを強化してまいりました。その結果、昨年の自転車利用者の交通違反の検挙件数は2,150件であり、これは、その5年前の平成28年と比べて2倍以上の検挙件数です。  自転車利用者に対する指導取締りにつきましては、指導警告を基本としつつ、指導警告に従わず違反行為を継続したり、他の車両等に急ブレーキをかけさせるなど、通行車両や歩行者に具体的な危険を生じさせる違反行為などについては、検挙することとしております。  特に、信号無視や一時不停止など、交通事故に直結する悪質、危険な交通違反につきましては、重点的に取締りを行っております。  各警察署では、交通事故の発生状況等を踏まえて、重点地区・路線を設定して指導取締りなどを重点的かつ計画的に推進するとともに、毎月1回、集中取締り日を指定して、悪質、危険な交通違反を重点に一斉取締りなどを行っております。  県警察としましては、引き続き、自転車利用者による悪質、危険な交通違反の取締りを強化していくほか、自治体はじめ関係機関・団体と連携して、自転車の通行空間の整備や交通安全教育、広報啓発活動等を推進し、良好な自転車交通秩序の実現に努めてまいります。  以上でございます。  〔栄居 学議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 栄居学さん。  〔栄居 学議員登壇〕 ◆栄居学議員 知事並びに警察本部長に御答弁いただきまして、1点、再質問をさせていただきます。  コロナ対策におけるオンライン診療の更なる推進についてであります。  今後、地域の専用病院を立ち上げていくとのことでありますが、オンライン診療を必要とする患者の方にこの仕組みを活用してもらうために、県はどのように取り組むのか、その開始時期も含めて伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  オンライン診療をできる仕組みを構築しても、利用されなければ、外来診療の逼迫回避にはつながりません。そこで、まず、オンライン診療の受診方法が理解できるような動画を作成します。  また、県のホームページから簡単にオンライン診療の予約まで行けるようにリニューアルを行います。さらに、こうした取組をLINEパーソナルサポートなどのSNSを活用し、県民の皆様に周知してまいります。  なお、地域オンライン診療クリニックの開始時期につきましては、準備が整い次第、できる限り速やかに開始したい、そのように考えております。  答弁は以上です。  〔栄居 学議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 栄居学さん。  〔栄居 学議員登壇〕 ◆栄居学議員 それでは、何点か要望させていただきます。  初めに、国民保護の取組強化についてであります。  政令指定都市における緊急一時避難施設の指定が、県と比べると、進んでいない状況のようです。御答弁の中で、県所管施設についての情報提供も進めていただけるということでございましたが、情報提供にとどまらず、積極的な働きかけを行うよう、お願いをいたします。  また、国民保護を想定した訓練は、行政職員も含めて、まだ県民に浸透していない状況であると思います。今後は、他県の事例なども参考にしながら、継続的に訓練を行い、練度を上げる取組を進めることを要望いたします。  次に、ヘイトスピーチ解消に向けた取組についてであります。  今後、悪質なインターネット上の書き込みに対して、県が直接プロバイダーに削除依頼を行うという取組をぜひ進めていただきたいと思います。  そして、1点お願いしたいのが、実際のヘイトスピーチやネット上の書き込みに対して訴訟を検討される方や、また、実際に、訴訟に発展するケースがあるということです。しかし、その手続を進める中で、様々な困難に当たるという声が上がっております。  県としては、こうした法的な手続を進めるときに、どのような課題に直面するのか、当事者の声を聞く仕組みづくりを進めることをお願いいたします。  〔栄居 学議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 栄居学さん。  〔栄居 学議員登壇〕 ◆栄居学議員 続いて、質問の第2として、県政の重要課題について、6点伺います。  〔資料提示〕  まず、当事者目線の障害福祉推進条例についてです。  津久井やまゆり園事件を受けて、我が会派は、本県の障害者施策を前に進めるために、県に対し、様々提案を行ってきました。  ともに生きる社会かながわ憲章や神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例など、我が会派の提案が反映された上で、条例が制定されており、今後の基本計画の策定に当たっても、引き続き、本県の障害福祉施策を前向きに進めていく決意であります。  さて、前回の代表質問においては、実効性のある条例にするために、条例に示されている障害者の政策立案過程への参加を狭義の福祉分野に限らず、障害者の社会生活に関わる様々な分野に進めていくべきと提案しました。  そして、知事には、具体的にどのように参加を進めていくのか、伺ったところであります。それに対し、知事からは、障害者に、県の審議会や会議などに参加していただき、当事者の目線から様々な行政分野における意見を伺い、それを可能な限り施策に反映していきたいと考えているとの答弁がありました。  今後は、具体的にどのような方法で、障害のある方が本県の施策に参加することになるのか、具体的に示していくことが重要であります。  また、この条例を全ての県民に周知徹底し、条例の理念に基づいた行動を取っていただくことも、条例を実効性のあるものにするために必要なことだと考えます。  思えば、ともに生きる社会かながわ憲章においても、我が会派は、憲章の実現に向けて、県民総ぐるみの取組を提案しました。今回の当事者目線の障害福祉推進条例も、憲章の理念に基づき、県民総ぐるみで理念の実現を目指していかなければならないと考えます。  そこで、知事に伺います。  本県の施策に対して、障害者がどのように参加するのか、その具体的な方法を伺います。また、当事者目線の障害福祉推進条例を実効性のあるものにするためにも、県民総ぐるみの取組が重要だと考えますが、知事はどのようにこの条例の周知を行い、どのような行動変容を県民に期待するのか、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会の調査結果についてです。  障害者に対する虐待が行われた疑いを調査するため、県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会が設置され、その調査結果が今年9月5日にまとめられ、報告がありました。  調査結果からは、あってはならない虐待が行われた事実が明らかになり、しかも、虐待が行われた時期が、ともに生きる社会かながわ憲章や神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例をまさに議論しているさなかであったことは残念であり、痛恨の極みであります。  我が会派としても、憲章、条例の重要性を認識すると同時に、足元の施策の重要性も認識し、二度とこのような虐待を行わない神奈川県をつくっていかなければいけないと改めて強く感じております。  さて、そのために、二つの提案を知事にさせていただきたいと思います。  一つ目は、チェック機能の強化です。  県立施設の場合、施設運営や利用者支援の内容をチェックする方法として、まず、法令に基づく指導監査に加え、本県が独自に行うモニタリングがあります。それに加えて、社会福祉法に基づき、評価機関が行う第三者評価があることも承知しています。  しかし、外部調査委員会が設置されて虐待が明らかになったことから分かるとおり、こうした県のチェック機能が十分に働かなかったことについては、真摯に向き合う必要があるのではないでしょうか。  また、平成29年度に中井やまゆり園が受審した第三者評価機関の評価書には、人権を尊重したサービスの提供達成率100%など、人権の尊重に対して軒並み高い評価となっています。今回の外部調査委員会の結果とのあまりの違いに驚きを隠せません。知事には、特に県が行うチェック機能の強化を求めたいと思います。  二つ目の提案は、障害者支援施設の地域生活移行のさらなる推進です。  今回、外部の視点の重要性が明らかになったわけですが、チェックのみならず、ふだんから外部と接することも、虐待を防ぐために有効であると考えます。  県も、神奈川県障がい福祉計画の中で、施設入所者の地域移行を重要施策に位置づけておりますが、目標470名に対して実績175名と、まだまだ進んでいない現状があります。  とりわけ、県立中井やまゆり園は、障害程度が重度な方の地域生活移行が進んでいないということであり、知事のさらなる取組を求めます。  以上、このような課題を踏まえて、知事に伺います。  県立中井やまゆり園での虐待をなくすために、県が行うチェック機能を強化するとともに、地域生活移行のさらなる推進を図るべきと考えますが、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、今後のインバウンド施策についてです。  2019年に約3,200万人だった訪日外国人客数は、コロナ禍により、2021年には約25万人まで減少するなど、観光産業は深刻なダメージを受けてきました。  コロナ禍も3年目となる今年、政府は、新型コロナウイルス感染症の感染状況を見極めながら、入国制限の緩和を進め、まずは6月に添乗員つきのパッケージツアー客に限定して、約2年ぶりに外国人観光客の受入れを再開し、その後、9月に入って、1日当たりの入国者数の上限を、それまでの2万人から5万人に引き上げるなど、さらなる緩和を図ってきました。  そして、10月11日からは、ようやく入国者数の上限が撤廃されるとともに、個人旅行客の受入れも認められるようになりました。  今回の入国制限の緩和により、インバウンド需要が回復し、再び多くの外国人観光客が本県を訪れることを観光業界も大いに期待しているところであります。  〔資料提示〕  こうした中、県では、国内観光客向けの観光需要喚起策として、全国旅行支援「いざ、神奈川!」を実施しているところですが、県内経済活性化のためには、国内観光客と比べ、観光消費単価が高いと言われている外国人観光客の取組が欠かせません。  そのため、県は、コロナ禍においてもインバウンド再開を見据え、着実に準備を進めてきたものと承知しています。  今後、インバウンド需要は徐々に回復するものと考えますが、コロナ禍により、観光を取り巻く環境が変化する中で、団体ツアー客の誘致だけでなく、増加が予想される個人旅行に対応した取組を推進していくことも求められるのではないでしょうか。  外国人観光客に日本の中でも本県を選んでもらうためには、こうした状況の変化も踏まえ、受入れ環境の整備やプロモーションを戦略的に行っていく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  観光目的での入国制限が大幅に緩和される中、今後のインバウンド施策について、どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、かながわグランドデザインと多選禁止条例についてです。  黒岩知事は、東日本大震災発生直後の2011年4月に、いのち輝くマグネット神奈川の実現を旗印に、知事に就任されました。大震災直後ということもあり、脱原発と力強く訴えていたことが印象的でした。  そして、その後も、知事はキャスター出身ということもあり、これまで数々のメッセージを発信されてきました。例えば、太陽光で脱原発、神奈川州構想、イクボス宣言、プラごみゼロ宣言、ヘルスケア・ニューフロンティア、未病改善等が挙げられます。  〔資料提示〕  メッセージの発信とともに、神奈川県の将来を展望した、かながわグランドデザイン基本構想を策定し、現在は第3期の実施計画が進行中です。  計画期間は本年度末となっている一方、基本構想は2025年度を目標年次としています。本県の人口は約920万人であり、県の将来設計をつかさどる知事の職責は非常に重く、一定の期間を見据えた計画を策定し、実施していくことが必要であることは言うまでもありません。  知事の権限は、人事権、予算権、許認可権等に及ぶため、同じ方が継続して長期間権限を有することによる弊害を懸念する声もあります。  公選制になって以降の本県のこれまでの知事歴任者の在任期間を見てみると、5期の方が2名、2期が3名、3期が黒岩知事1名となっています。  〔資料提示〕  本県では、2007年10月12日、恒久的に連続3期12年までとする、神奈川県知事の在任の期数に関する条例が神奈川県議会において可決、成立しています。  これは、知事の多選を禁止した全国初の条例でもありました。  本条例の施行日は、地方自治法や公職選挙法といった関係する法改正を踏まえ、別に条例で定めるとなっており、法的な拘束力はないものと承知しています。  一方、幾つかの自治体においては、首長の多選による弊害への対応として、いわゆる多選自粛条例を制定しているところもあります。しかし、条例の定めを超えて選挙に立候補した結果、市民の信任を受けて首長を続ける方もおり、条例が時代に合わなくなってきているのではないかとの指摘もあります。  その背景には、首長が政策を実現するには一定の時間が必要であることに起因しますが、一方で多選による弊害も否定できないと認識しています。  加えて、直近では、約2年半に及ぶコロナ禍でのかじ取りは、これまで準備をしてきた政策を行うことが実質、できない環境であるとも考えられます。  そこで、こうした状況を踏まえ、知事に伺います。  かながわグランドデザインを現時点でどのように総括しているのか、また、本県の知事の、いわゆる多選禁止条例に対する見解について、知事に伺います。  〔資料提示〕  次に、物価高騰に係る保育所等への支援についてです。  新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、本年4月、国は、原油価格や物価の高騰を受けた生活者や事業者の負担を軽減するため、地方創生臨時交付金に原油価格・物価高騰対応分を創設し、物価高騰に苦しむ事業者等の支援に乗り出しました。  さらに、9月には、電力・ガス・食料品等の価格高騰重点支援として交付金の額を増額するなど、支援を拡充し、事業者などへのさらなる支援を行っているところであります。  我々の生活に目を向けてみますと、10月には6,500を超える品目が値上がりするなど、物価高騰の波が確実に押し寄せてきており、物価高騰は県民全ての生活に影響を及ぼす、まさに喫緊の課題であると認識しております。  〔資料提示〕  こうした中、物価高騰による子供への影響を最小限に食い止めるため、東京都では、国の地方創生臨時交付金を活用し、9月補正予算において、物価高騰に直面する保育所等の負担軽減に向けた緊急対策として11億円を計上するなど、物価高騰への支援を実施していることに加え、群馬県においても、9月補正予算を計上して対策を講じるなど、関東の都県では、保育所等に対する物価高騰対策に取り組んでいる状況が見て取れます。  一方で、本県においては、私立幼稚園をはじめ専修学校、小中特別支援学校、高齢者施設等に対しては、9月補正予算で物価高騰対策の予算を計上し、物価高騰への支援に取り組んでいるにもかかわらず、保育所や認定こども園への物価高騰に関する補正予算は計上されておらず、なぜ支援を行わないのか、甚だ疑問に感じているところであります。  基本的に、保育園や認定こども園への支援は、市町村の役割とは承知しておりますが、県内においても、物価高騰対策として、保育所等に対し、補助を出す基礎自治体もあれば、出さない基礎自治体もあると聞いております。  また、補助が出ていても、その額そのものが自治体ごとによって異なっていることも考えられ、県内で格差のような状況が生じてしまっているのではないかと危惧するところであり、まさにこういった状況を補完、改善していくことこそ、広域自治体としての県の大きな役割と考えております。  本県でも、9月議会においては、国の地方創生臨時交付金についての審議も行われましたが、その使途として国が示す推奨メニューとして、しっかりと保育所への支援と明記されていますので、今後、再び地方創生臨時交付金などが本県に交付された際には、保育所等への支援を盛り込むなど、物価高騰で苦しむ保育所等への支援を早急に進めていくべきであります。  現在、国においては、こどもまんなか社会実現のため、来年度、こども家庭庁を創設し、子供を誰一人取り残すことなく、その健やかな成長を支援していくとのことです。  そのような観点からも、本県としても、保育所や認定こども園に対して、幼稚園と同様に、物価高騰への支援を行っていくことは必要不可欠と考えます。  そこで、知事に伺います。  今後の未来を担う子供が笑顔で健やかに成長できるよう、保育所や認定こども園などに対しても、物価高騰への支援を行っていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、児童・生徒の「学ぶ意欲」の向上についてです。  本年4月に、令和4年度全国学力・学習状況調査が実施されました。この調査は、学校や教育委員会が児童・生徒の学力・学習状況を把握、分析して、成果と課題を検証し、教育指導の充実・改善に役立てること、そうした学びの改善サイクルを確立することを目的に、全国の小学校6年と中学校3年を対象とした悉皆調査として、平成19年度にスタートしました。  その後、一時期、調査方法が変更になり、抽出調査として実施されたことや、東日本大震災や新型コロナウイルス感染症の影響により、中止となった年度があったものの、おおむね毎年度実施されてきました。  〔資料提示〕  今年度の調査については、本年7月に文部科学省から調査結果が公表され、本県の公立小中学校における教科に関する調査の平均正答率は、全教科とも全国公立学校の平均と大きな差が見られなかったと承知しております。  しかしながら、教科調査の平均正答率を高めていくことは、もちろん大切と考えますが、私としては、こうした目に見える数値とともに、児童・生徒の学ぶ意欲といった、目に見えない力を高めていくことも大切であると考えます。  児童・生徒一人一人の学ぶ意欲を高めていくことが、ひいては、目に見える数値の向上にもつながっていくのではないでしょうか。  一方で、長引くコロナ禍において、感染状況や感染防止対策など、見通しを立てにくい昨今の状況は、学校行事や部活動などの制限へとつながっております。  また、生活環境や家庭環境の急激な変化により、児童・生徒にとって、学ぶ意欲に好ましくない影響を及ぼしているのではないかと考えます。  このような中、県教育委員会では、公立小中学校における調査結果について、総合的な分析を行い、この11月に調査結果の分析・活用資料を公表しました。  新型コロナウイルスの感染状況により、今後も学校現場にどのような影響が生じるか不透明な部分はあると思いますが、県教育委員会においては、今回の調査結果を基に、本県の児童・生徒が、その学ぶ意欲を高めていけるよう、市町村教育委員会や学校を適切に支援していただきたいと考えております。  そこで、教育長に伺います。  今回の県教育委員会が行った全国学力・学習状況調査の分析結果から、県内の児童・生徒の学ぶ意欲の状況をどのように捉えているのか、また、学ぶ意欲を高めることについて、今後、県教育委員会として、どのように取り組んでいくのか、教育長の所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の重要課題についてお尋ねがありました。  まず、当事者目線の障害福祉推進条例についてです。  当事者目線に立った施策を推進するためには、障害当事者本人の御意見を伺い、施策に反映していくことが重要です。  そこで、私がトップを務める共生推進本部において、改めて、当事者目線の重要性や、審議会への障害者の参加を進めることについて、全庁の幹部職員と共有しました。  まずは、今後、委員の改選が行われるそれぞれの審議会などにおいて、障害者の委員登用に向けた具体的な調整を関連部署が連携して取り組んでいきます。  また、個別の施策については、条例の分かりやすい版「みんなで読める神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~」を作成したノウハウを生かして、障害者のワーキンググループを設置するなど工夫をしながら、政策立案過程への障害者の参加を推進していきます。  次に、条例の周知徹底についてです。  条例が目指す当事者目線の障害福祉や地域共生社会を具現化するためには、多くの県民の皆様の理解が必要です。  そこで、障害に対する地域の理解を促進するため、あらゆる世代が障害者と一緒に活動する機会を増やすとともに、条例の分かりやすい版などを活用し、県民全体への周知、啓発を進めます。  例えば、ねんりんピックかながわ2022における分身ロボット「OriHime」を活用した障害者の社会参加の具体的な取組や、文化芸術における障害者の活躍を紹介するなど、障害者への理解を深め、条例の周知徹底を図っていきます。  このような様々な取組を積み重ねていくことで、当事者目線の障害福祉への理解が深まり、誰もがその人らしく暮らせる、ともに生きる社会の実現に向けた県民の皆様の行動変容を期待しています。  次に、県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会の調査結果についてです。  まず、県が行うチェック機能の強化についてです。  外部調査委員会の調査結果を受け、現在、外部有識者等で構成する県立中井やまゆり園当事者目線の支援改革プロジェクトチームで、改革プログラムを検討いただいています。  ここでは、施設の健全化に向けては、第三者のチェック機能を入れることが必要という指摘を受けています。このため、全県立施設に、今年10月から、障害当事者に施設現場を直接見ていただく巡回事業を開始し、当事者の目線で園の利用者支援や生活環境の改善点を職員に伝え、意見交換を行っています。  今後は、県が行うモニタリングに障害当事者や弁護士などの第三者に加わっていただき、チェック機能を強化していきます。  次に、中井やまゆり園における地域生活移行のさらなる推進についてです。  外部調査委員会からは、閉鎖的な環境の中で不適切な支援が常態化したとの指摘を受けており、住民や事業所等と活発な交流が行われるといった、地域に開かれた施設となることが地域生活移行の推進には欠かせません。  中井やまゆり園では、施設外の事業所への通所や、秦野の駅前に拠点となる場を確保し、公園清掃や花壇整備といった、利用者と地域住民等との自然な触れ合いが可能となる取組を始めています。  今後は、改革プログラムの中に、利用者の望む生活の選択肢を増やす取組や、地域で暮らす具体的なイメージが持てるような内容を盛り込み、これを実践して、地域生活移行を進めていきます。  こうした取組により、虐待をなくし、中井やまゆり園を生まれ変わらせて、条例が目指す当事者目線の障害福祉や地域共生社会を、先頭を切って具現化していけるよう、全力で取り組んでまいります。  次に、今後のインバウンド施策についてです。  現在、全国で観光需要喚起策が実施され、県内観光地にもにぎわいが戻りつつありますが、本格的な観光産業の復興のためには、外国人観光客に多く来ていただくことが重要です。  県ではこれまで、ウェブサイト等での情報発信に加え、海外の富裕層をターゲットにした美術館の貸切りなど、特別感のある観光コンテンツの開発や、外国語表記を整備する取組への補助など、受入れ環境の充実強化に向けた支援等に取り組んできました。  こうした中、外国人観光客に対する国の水際対策が段階的に緩和され、10月からは、入国制限がほぼ撤廃されました。この機を捉え、県は、感染状況を注視しながら、海外の旅行事業者を招待し、本県の魅力を体感してもらうファムツアーの実施や、米国などにおける現地商談会への出展など、コロナ禍で実施が困難だった直接的なセールスを強化します。  また、個人旅行者の増加が見込まれることから、観光地の歴史やストーリーを語れる通訳ガイドの育成や、県内の周遊観光を体験してもらった外国人インフルエンサーによるSNSでの情報発信などにも力を入れていきます。  県は、本格的なインバウンドの回復を見据え、受入れ環境の整備やプロモーションを戦略的に行うことにより、多くの外国人観光客を本県に呼び込み、地域経済の活性化につなげてまいります。  次に、かながわグランドデザインと多選禁止条例についてです。  初めに、かながわグランドデザインの総括についてです。  本年度は、かながわグランドデザイン第3期実施計画の最終年度であることから、基本構想及び実施計画について点検を進めており、総合計画審議会から御意見を頂きながら、社会環境の変化を検証した上で、新たな課題の抽出や政策改善の方向性について整理しています。  基本構想については、少子高齢化の一層の進行、デジタル化の加速など、社会環境が大きく変化していることから、現行の構想を見直す方向で検討を進めていくこととしています。  また、実施計画については、コロナ禍の影響を受けながらも事業に工夫を重ね、一つ一つ成果を重ねてきましたが、エネルギー、男女共同参画など、設定した目標に届いていない施策もあり、引き続き今後の取組に向けた課題を整理することとしています。  次に、多選禁止条例についてです。  本県では平成19年10月に、知事の在任期数を3期までとする、神奈川県知事の在任の規制に関する条例を制定しています。  この条例の施行日は、必要な法改正が行われた後に改めて定めることとしていますが、現時点では、その法改正は行われておらず、条例は施行されていません。  任期を継続することについては、同じ人が行政運営を引き継ぐことがメリットと考えるのか、在任期間が長期化するということがデメリットになると考えるのか、それは、選挙の場において、有権者により判断されるものと認識しています。  最後に、物価高騰に係る保育所等への支援についてです。  新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ロシアのウクライナ侵攻などを起因とする物価高騰の影響により、福祉施設は、食材費や光熱費などの経費が膨らみ、厳しい運営状況に置かれています。  県では、こうした状況にある施設の経済的負担を軽減できるよう、国の地方創生臨時交付金を活用して、9月補正予算において、高齢者や障害者の施設などに支援を行ってきました。  各施設への支援は、基本的に、法令等に定められた権限を有する自治体が判断すべきものとの考えから、市町村が実施主体となる保育所や認定こども園について、県は支援を行っていません。なお、大多数の県内市町村は、保育所などに対する支援を行っている状況であります。  そもそも、福祉施設の運営に必要な経費は、介護報酬などとして、国が人件費や光熱水費などを積み上げて算定するものですが、現時点では、今般の急激な物価高騰による影響は反映されていません。  このため、県は、高齢者施設や保育所などが円滑に運営できるよう、介護報酬などに物価高騰の影響を適切に反映させることを国に要望しました。  今後とも、福祉施設への支援を国へ要望するとともに、保育所等の状況については、市町村と情報共有を図ってまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係の御質問にお答えします。  児童・生徒の「学ぶ意欲」の向上についてお尋ねがありました。  学ぶ意欲を高めるためには、教員が子供たち一人一人の可能性や日頃の努力などを積極的に認め、自己肯定感を育むことが何よりも重要です。そのため、県教育委員会では、合い言葉として、「頑張ったね」の、種をまこう、を掲げ、学校に子供たちの自己肯定感を育む取組を促してきました。  今年度の全国学力・学習状況調査では、先生が自分のよいところを認めてくれると回答した児童・生徒は、約86%まで増加しています。一方、国語や算数の勉強は大切で、将来、役に立つと考える児童・生徒は90%を超えているものの、これらの勉強が好きと回答した割合は、約60%にとどまっており、さらなる授業改善が必要です。  そこで、県教育委員会では、全国学力・学習状況調査の詳細分析に加え、授業改善の実践事例を盛り込んだ資料を「かながわの学びの充実・改善のために」と題して、今月、公表しました。  その中では、一人一人が授業の中で活躍できる場面を設定したり、子供たちがお互いの発言や努力を認め合う場面を増やすなどの実例を学びの充実・改善のヒントとして掲げています。  今後、この資料の活用を市町村教育委員会や学校に働きかけるとともに、来年1月には、教員や児童・生徒、保護者、地域の皆様を交え、学ぶ意欲に関するオンラインシンポジウムを開催します。  県教育委員会では、こうした取組を通じて、児童・生徒の学ぶ意欲のさらなる向上を図ってまいります。  答弁は以上です。  〔栄居 学議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 栄居学さん。  〔栄居 学議員登壇〕 ◆栄居学議員 御答弁いただきまして、1点、再質問をさせていただきます。  児童・生徒の「学ぶ意欲」の向上についてでありますが、県教育委員会として、「かながわの学びの充実・改善のために」というまとめの資料を活用して、学ぶ意欲のさらなる向上を図っていくとのことでありますが、児童・生徒の学ぶ意欲については、本年度は、コロナ禍による影響が色濃く反映されているのではないかと考えられます。  県教育委員会として、どのようにこの部分を捉えているのか、教育長の所見を伺います。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係の再質問にお答えいたします。  長引くコロナ禍は、児童・生徒にストレスを与え、学ぶ意欲にも少なからず影響をもたらしていると捉えております。  県教育委員会が作成した資料では、コロナ禍の影響に関しても分析していますので、児童・生徒に寄り添った支援ができるよう、市町村教育委員会に資料の積極的な活用を働きかけてまいります。  以上でございます。  〔栄居 学議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 栄居学さん。  〔栄居 学議員登壇〕 ◆栄居学議員 それでは、何点か要望させていただきます。  まず、児童・生徒の「学ぶ意欲」の向上についてでありますが、この取組を進める前の認識として、今回の学習状況調査については、特にコロナ禍の影響が現れている部分があると思いますので、そういった現状を正しく分析した上で、具体の取組を進めるよう要望いたします。  次に、当事者目線の障害福祉推進条例についてであります。  私たちの会派としても、県民に対して、この条例や、その趣旨を理解していただくためには、全庁横断的な取組が必要であると考えます。特に、教育分野と連携し、児童・生徒に対して啓発していくことも有効なことであると考えますので、教育分野との連携を検討するようにお願いいたします。  次に、今後のインバウンド施策についてであります。  コロナ禍前には、海外の観光展に県職員が赴いて、神奈川の魅力をPRしたり、海外の旅行会社を本県に招いて、商品造成を促すファムツアーを盛んに行っていたと思います。  水際対策の緩和を受けて、海外プロモーションを強化するとのことですので、今後は、コロナ禍前に行っていたような施策を積極的に展開していただいて、観光産業の活性化に取り組むよう要望をいたします。  以上で、私の代表質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○副議長(曽我部久美子) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(曽我部久美子) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  次回の会議は、明12月1日午後1時に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。                  午後4時36分 散会...